<メンバー>
たろー、いさお、おすぎ、おりえ、りー、もっちゃん、
<コース:1日目>
二俣(10:00)~猿倉荘(11:30~12:35)~白馬尻(13:30)
雪のアルプスを歩き始めた頃、白く長大な雪稜の写真をネットで見たのが白馬主稜との出会いでした。最初は「すごい世界があるもんだなあ~」と自分には縁の無い世界と思っていましたが、経験を積み重ねる事で、「いつか行けるかなあ」になり、「ひょっとしたら行けるかも」に変わってきました。
最初に計画した2018年は天気が悪く中止、2019年も中止、2020年はコロナのおかげで計画すら出来ず・・・。そしてようやく今年。雪の状況、メンバーの体力、技量など条件が整い、6人のメンバーで挑戦する事が出来ました。
1日目は白馬尻のベースキャンプまでのアプローチ。猿倉までの林道はまだ開通していないので、舗装された林道をポクポクと歩いて行きます。アイゼン、ワカンにダブルアックス、ロープにガチャ、幕営装備を入れたザックは過去最高に重たく、肩に食い込みます。幕営装備を背負って主稜を登ろうかとも考えていましたが、今の我々ではとても無理な事が分かりました。
猿倉山荘の手前でようやく雪が出てきました。山荘前で少し休憩した後は沢沿いの道を歩いて行きます。軟雪の踏み抜きを心配していましたが、雪は締まっていてワカンを付ける事無く1時間程で白馬尻に到着しました。
二俣に車がたくさん停まっていたので白馬尻にはテント村が出来ているかと思いましたが、見える範囲にはソロテンが張ってあるのみです。(少し上には数張あるみたい)ソロテンから少し離れた所にテントを張ります。
テントを張り終え、水を作ろうかという時にスノーボードで颯爽と滑り下りて来る人がいます。なんとマサさんです。(ソロテンの主はマサさんでした)今日は8峰の少し上まで登ってそこから滑って来たそうです。BCをやっているりーちゃんはマサさんのスプリットボードに興味津々。おりえちゃんはドローンを飛ばさせてもらって遊んでいます。
時間に余裕があるので明るい内から水作りながら宴会開始。みんな明日の登攀を前にテンション高めのお喋りが続きますが、出発時間も早いので19時過ぎにはシュラフに入ります。眠れるかな~と思いましたが、いつの間にか夢の中へ・・・。
<コース:2日目>
白馬尻(3:00)~稜線(5:20)~P2492(7:10)~Ⅱ峰(9:00)~白馬岳(9:25~10:00)~白馬頂上宿舎前(10:20~10:50)~白馬大雪渓~白馬尻(12:10~13:05)~猿倉荘(14:00~14:15)~二俣(15:40)
翌日は気合の1時起床、3時出発。いつもはだいたい予定時間より遅れるのですが、今日はすんなりスタート出来ました(みんな気合入っています)。ルート上には既に登り始めている先行Pのヘッデンが見えます。
昨日の偵察時に確認したトレースを辿っていきます。途中、クラックなどの難所も上手く避けていってくれています。8峰手前の稜線上に辿り着く頃にはに空がじんわり明るくなってきました。稜線上は平坦地になっていてテントの跡がありました。
さあ、ここから登攀開始です。いきなりピッケルを打ち込んでの雪壁登りですが、雪は固く締まっていてトレースはしっかりしたステップに、快適です。
すっかり明るくなるとこれから登る主稜が見渡せます。4月の上旬にしては雪が少なく、8峰までは所々藪や岩が露出している箇所がありました。まだほんの僅かなので通過に問題ありませんが、これはGWまでは持たないだろうなあって感じです。大雪渓の対岸には杓子岳がかっこよくそびえています。
8峰を越えると昔、写真で見た景色が目の前に広がります。頂上に向かって伸びる雪稜はまるで白い竜の背の様、自分が仲間と一緒にこの場に立つ時が来るなんて初めて写真を見た時は思いもよりませんでした。鈴ハイで山やって来て良かった~。
みんな、この日の為に準備した2本のピッケルを雪面にぶっ刺してグイグイ登っています。ナイフリッジは一見スリリングですが、雪は締まっていて足場はしっかりしているので、慎重に歩いていれば問題ありません。途中、腰を下ろして休憩できるような箇所もあるので所々で緊張を解きほぐします。
もうどこが何峰か分からなくなってしまいましたが、すぐ前を歩いていた4人Pを追い越して早朝発では我々が先頭になりました。横を見ると小蓮華からの稜線がかなり近くなっているので随分と登ってきているはず。途中、クラックを乗り越す所があり、緊張しましたが、ロープを出す事無く全員が突破出来ました。
写真で見覚えのある岩場に来て2峰直下である事が分かりました。頂上まではあとほんの少し。左側の雪はすでに解けていたので右側の雪壁を少しトラバースしてから登ります。実際は65~70°位の傾斜ですが体感は90°に近い物があります。
2峰に出るといよいよ頂上直下の核心部です。斜面の様子を見ていると、スノーボードを担いだマサさんが追いついてきました。我々よりも2時間も遅く出発したのに凄い。おそらく、頂上付近で出会えるように時間を調整してくれたのでしょう。
最後の核心部は雪庇の張り出しも無く、雪面も安定しているので確保の必要は無さそうです。まずはマサさんが颯爽と登って行きます。マサさんが稜線の向こうに消えた所で登攀開始。ドキドキしながらピッケルを雪面にぶっ刺して登って行きます。最後はあっさりと稜線を乗り越す事が出来ました。これなら後続にロープを出す必要も無さそうです。
後続メンバーが次々と登ってきて、30分程で全員無事稜線に上がりました。メンバーからは喜びが溢れています。自分が登れたのはもちろん嬉しいのですが、こんなに喜んでもらえるともっと嬉しくなってきました。
山頂で景色を楽しみ、全員で集合写真を撮ったら下山です。我々は頂上宿舎前で小休止していると、マサさんはボードであっという間に滑っていってしまいました。(かっこイイ~)
大雪渓は雪も緩んでおらず、快適に下れます。傾斜が緩んでいる処ではヒップソリで大滑走。ボードやスキー程のスマートさはありませんが、歩くより断然早く下る事が出来ました。
1時間半足らずでテン場に到着。テントを撤収します。ここからは重いザックを背負ってのしんどい下山、特に猿倉からの林道歩きは行きとほぼ同じ時間がかかってしまいました。あー疲れた。
近くの温泉で汗を流し、梓川SAでご飯を食べてから三重組と愛知組に分かれて解散しました。
何年も前から思い描いていた白馬主稜。自分達で経験を積み重ねチャレンジ出来た事はとても嬉しかったです。これでバリエーションへの道もさらに開けて来たように思います。
次はどんなルートに挑戦しようか今から楽しみです。
参加のみなさん、ありがとうございました
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