乙女渓谷氷瀑でアイスクライミング 2019.2.23

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<メンバー>なお、たばっち、くろ
<コース>10:30 乙女渓谷キャンプ場 - 11:40 夫婦滝 15:30 - 16:30 乙女渓谷キャンプ場


 たばっちから氷瀑見学の山行計画が上がったので、久々にまったり山行もいいかなと思いエントリーしてみた。
 その後、ルートの概要を掴むために小秀山+乙女渓谷+氷瀑でネット検索すると、この氷瀑を登っているサイトが出てきた。

 難易度はどうなんやろ?中間支点はあるのか?、、

 しかし、60mとも80mとも言われる男滝を抜けるには、道具も技術も足りない。
 トップロープを張って少し遊ぶのもいいだろうと計画変更を検討する。しかし、トップロープということは、最後は懸垂下降が必要になるが、アイスクライミングの懸垂支点は、残置や灌木は使えない。アバラコフか。。

 氷瀑見学+小秀山登頂を計画していたリーダに、『氷瀑登りたい』と持ち掛けてみると、それなら【氷瀑見学とアイスクライミングについて考える】というテーマにしましょうとの回答があった。
 わがまま聞いてくれてありがとう!
 で、前日の夜にアバラコフ用の長いアイススクリューを買いに走った。お店で、捨て縄用のロープは1.5m必要だとの情報も頂く。
帰宅後にピッケルも研いだ。青い氷は固くて、アックスが弾き飛ばされるとの記事を見たからだ。

 当日は予想以上の暖かさだった。車道脇の気温計は11℃を示しており、登山口まで雪もない。『マズい』
 しかし、一歩登山道へ入ると、沢沿いの道は氷結していてとても歩き難い。所々に現れる木の階段を痛めるわけにもいかないので、アイゼンも履けない。

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<いきなり氷結路>

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<木道を歩きます>

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<きれいな滝つぼです>

 天狗岩を過ぎるころには、『アイゼン履きたいな・・』と思っても、先頭のなおちゃんは気合で進むし、後ろにいるたばっちはこの状況を楽しんでいるし、自分はといえば、参加表明時に『今回のテーマはコケないこと。雪山での歩き方を見直したいです!』と言ってしまっている。。
 そうは言っても、氷結路をノーアイゼンで行くことは想定していなかった。

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<天狗岩>

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<かわいい形です>

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<この辺りの氷結路は苦労しました>

 夫婦岩の手前で、沢から離れて左の斜面を進む。帰りは絶対アイゼン履くぞ!と思わせる、氷結した斜面である。
 しばらくすると夫婦滝が見えてきた。凍ってる!ここでやっとテンションが上がる。
 ロープを越えて滝つぼへ向かった。

『おーー!』

 滝の落ち口と上部の滝つぼには大きな穴が開き、雪解け水が怒涛の如く流れているのが見える。よく見ると、氷瀑の裏側に水が流れ落ちているのが確認できた。

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<雄滝!>

 登れるかな?と様子を伺っていると、なおちゃんがおもむろにカップ麺へお湯を注ぎ始めた。
「だってお腹すいたもん」
 確かに時計は12時手前を指していたが、お昼前にトップロープを張ってしまおうと思っていたので、ちょっと拍子抜けした。が、今回のテーマは【氷瀑見学とアイスクライミングについて考える】だったと思い直す(笑)

 昼ご飯を食べ、クライミングの準備をして、いざ滝つぼへ。真下まで行くと更に迫力が増す。滝は大きく2段になっており、1段目の滝つぼに開いた直径5m程の穴からは、水しぶきが落ちてきている。ロープを背負い、2段目の滝つぼからフリーで登ってみたが、1段目の滝つぼ周辺は下から見るより傾斜があり、安心してビレイする場所がなさそうだった。
 仕方なくクライムダウンして、2段目の滝つぼの左端へトップロープを張ることにした。

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<フリーで登ってみる>

 まずは、懸垂支点用のアバラコフ作成の練習をする。
 アバラコフ(V字スレッド)は氷に開けた貫通穴へ捨て縄を通して支点とする方法で、昨夜買った21cmのアイススクリューを使って左右から斜め奥へ穴を掘り、その先端同士を貫通させる作業である。

 まず、一つ目の穴を右から掘る。次いでスクリューの長さをメジャー代わりに使って左の入口を決め、先ほどの穴の先端目掛けて掘っていく。。。ピッタリだ!
 次いで、昨夜作ったフック(ワイヤの先端に釣り針状の針金を固定したもの)を左の穴から入れ、右から入れた捨て縄用のロープを左の入口へ引っ張り出す。

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<アバラコフ作成中>

 あとはロープ先端同士をダブルフィッシャーマンで連結するだけである。
と、その時だった。

「豚汁炊けたよ!」と下からリーダの声が聞こえた。

 またもや気を削がれたが、今回のテーマは【・・・について考える】である(笑)
 さっきお昼を食べたばかりでお腹が空いていなかったのもあり、まずはトップロープを張りたいと説明して、滝つぼへ戻る。
 昨夜研いだアックスは、左右共よく効くが、刺さり過ぎると抜くのに手間取る。氷は所々シャーベット状になっており、スクリューを打つ場所にも気を使った。

 1段目の滝つぼ付近まで上がると、氷の状態は更に悪く、支点を採れそうな場所がない。仕方なく、縦に刺さった太い流木でトップロープ支点を作った。

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<これ上まで登れる?→無理でしょ(笑)>

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<リードで登ります>

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<1ピッチ目終了。あと何ピッチあるんだ?>

 さて、豚汁を頂こう!
 冷えた体に暖かい豚汁が染み渡る。旨い(^^)
 お代わりまで頂き、お腹も満たされたところで、いよいよ【・・・について考える】ではなく【・・・を楽しむ】時間だ。
 まずはなおちゃんが1回登る。2週間前の無料ピッケル講習(※1)の成果を存分に発揮したスムーズな登攀である。

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<なおちゃん登ります>

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<無料ピッケル講習の成果は・・・>

 続いてなおちゃんのビレイでくろが登る。次はたばっちの番だが、『ハーネスは・・・?』。たばっちが、豚汁の場所まで取りに戻る(^^)
 戻ってきたたばっちに、『ビレイしてみる?』となおちゃんが声を掛ける。登るのは誰?俺?落ちなきゃいいんやろ!(笑)
 『私、ロープを持ってるから!』となおちゃんからのサポートの声を信じて登り始めた。

 5m程登ったところで効きの悪かった右手が外れ、右足も外れた。ドアを開くように体が左へ振られて、氷壁からズルズルと滑り落ちたが、たばっちがしっかりと止めてくれた。助かった。
『たばっち、ありがとう!!』

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<ビレイ挑戦中のたばっち>

 次はたばっちが登る番。基本動作を一通り実演して見せ、本番。
 たばっちが右手のアックスを振りぬく! が、コンコンとひ弱な音が鳴り響く。次いで左手のアックスを!

コンコン・・・

 それでもそのまま両手のアックスに体重を預け、右足のアイゼンを蹴り込む、、、
※あとはご想像にお任せします(^^)

 帰路はアイゼンを履いて登山口まで降りてきました。やっぱり安心感が違います。
 驚いたことに、下りのたばっちは、我々二人より断然速いのです。登りもノーアイゼンでの氷結路歩きを楽しんでいたし、すばらしいバランス感覚の持ち主だと知りました。

 さて今回のテーマについてですが、『氷結路歩きも楽しめたし、氷瀑も見れたし、クライミングもできたし、終始【アイス】を堪能できて良かったね。けど、来年はもう少し早い時期に来よう(^^)』という締めになりました。

※1:2週間前(2/9)に御在所3ルンゼで、別のパーティのリーダが初心者にアイスの基本を教えていたのですが、その時のアックスの打ち方が実に上手で、その講習を横から『ふんふん』と盗み見していました。

記:くろ

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