十石山避難小屋泊_追悼登山


○日程
2018年10月13日~14日
○コース
3/13:白骨温泉(8:40)-湯沢の平(10:45)-十石山(13:40)
3/14:十石山(9:55)-湯沢の平(12:00)-白骨温泉(13:25)
○メンバー
ふみさん、さっこ、とりや


 念願の下ノ廊下通過&阿曽原温泉小屋覗きを叶えるべく、心の準備と装備の確認をしていたところ、突然のitaさんの訃報を受け、とても下ノ廊下どころではない状況となり下ノ廊下山行を断念。
 itaさんのお通夜と葬儀を終え、肉体的にも精神的にも疲労困憊しているふみふみさんの山で休養したいという希望で、穂高連峰を望むロケーションの霞沢岳山行を試みるも、毎週末到来する台風に悩まされ、霞沢岳も断念。ひとり傷心旅に出ようとしていた とりやさんと合流し、穂高連峰を静かに見守ることができる十石山へ転進。心を休め、心を整える山行となりました。

 霞沢岳→十石山と、出だしはアタフタしたものの、スタート地点の白骨温泉郷に到着。台風が過ぎ去った直後の10月中旬は紅葉が始まり寒い季節となっていました。
 避難小屋には水場がないという想定で自分の行動水以外に1人2Lボトルの負荷。汗っかきシリーズのとりや隊長と私は自分の行動水約2Lに、さらに2Lの負荷がかかります。ふみふみさんは、自分の行動水+2Lボトル+みんなの食料分を担ぎます。「ふみふみさんには多少の負荷がないとアカン!」という次郎さんの言葉が頭の中を駆け巡ります。

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白骨温泉より登る

 とは言っても、登り3時間弱の試練。やりきれない悲しみを登るエネルギーに換えて、精神的にも疲れ切っている自分たちを奮い立たせて登ります。itaさん話をいろいろと聞きながら3時間弱、ようやく避難小屋に到着。

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本日の寝床を確保

とりやさんにとっては想い出深い十石山避難小屋泊
2017年3月にitaさん他 鈴ハイメンバーで十石山~乗鞍岳縦走路を偵察しております。
十石山 2017.03.25~26  itaさん手作りの旗棒を確認することができます。

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避難難小屋の装備品の充実ぶりに感動。ふみふみさんが数分で我々の部屋のセッティングを瞬く間に完成。
充実した装備品はマル秘としますが、綺麗に管理されていることに感謝し、もちろんカンパ!

オープンエアーなトイレも偵察し、十石山山頂へアタック。2,525m(ニコニコ)の共演。

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避難小屋注意事項を確認!ヨシッ!!

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オープンエアー トイレ!確認ヨシッ!!

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ニコニコの共演!!!

 残念ながら、穂高連峰を拝むことはできませんでしたが、雲の中の見えているはず前穂高に向かってそれぞれの想いを込めて合掌。

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穂高方面は雲の中

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 故人を偲ぶ話が尽きることなく、ふみふみ’sキッチンのお時間。

 簡単でしょ~!と言って、手際よく調理していくふみふみさんをただ茫然と見ているしかできないまま、どんどん料理が完成していき、盛り付けも手早く、どんどん食べまくること数時間、itaさん伝説をいろいろ語ったりしているうちに就寝時間。仕事の疲労にitaさんの訃報、みな疲れ切っています。

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似顔絵は似てまへん。ご本人からツっこまれること間違いなし!

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トマト、いわしのオイルサーディン、チーズ、その他、覚えきられへんけど、いつもの豪華なディナー♪

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2回戦目もたっぷりのお野菜と具材♪ おなか一杯いただきました。

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目元首元を蒸気で温めて就寝!

 翌朝は下山のみ。天気の好転も期待できず、雲の中の前穂高にお礼をして下山。下界は山の上と違い、陽気な光ある世界。

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 下山後は、奈川の秘湯に立ち寄り疲労回復の最終仕上げ。美味しいうどんを食し、今回の追悼山行を終えました。

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 突然の出来事が台風のように過ぎ去り、気持ちの整理もつかないままの決行。一時的にも気持ちを落ち着かせることができたとは思いますが、大きな存在を失ってしまったことは、各人にとっても、会にとっても、山を愛する同じ者同士としても、いつまでも悔やまれることだと思います。今となっては数々のエピソード、itaさんが教えてくれたこと、行動をもって教えてくれたこと、心配してくれていたこと、ひとつひとつ思い出し、聞いたりして、itaさんの想いが語り継がれていることが、みなさまの励みになるのではないでしょうか。
さっこ記

とりや追記)
 十石山への登山道、昨夜避難小屋泊して下山してきたという、1人の登山者とすれ違いました。40年ほど前に山で仲間を失い、その仲間を偲んで十石山避難小屋に毎年1泊、そして小屋にはその仲間と一緒の写真が置かれている、とのこと。このベテラン登山者との短い会話は、何だか偶然でないような気がして、追悼にこの山を選んだ意味を改めて思いました。
 山小屋に着くと、さっこが早速かの写真を見つけ出し、そこに写った若者たちの服装を見て、「これは長野県警山岳遭難救助隊のユニホームだ!」と言う。さっこの底知れなさに驚愕しつつ、山岳救助のプロが山で亡くなることは、どんなに痛恨の出来事であったろうか、少しitaさんの心情にも重なる気がしました。
 夜はふみさんのいつもの美味しい料理&ワイン、itaさんが見たら「なんじゃこりゃ」と必ず言うだろうitaさん似顔絵入紙コップに乾杯、変に湿っぽくもならず、ぽつぽつとitaさんの思い出を語りながら、お隣のパーティの大盛り上がりの声をのみ込んで、十石山の夜は更けていきました。
 十石山の避難小屋は、itaさんと初めて冬の北アルプスの山小屋泊をしたところ、アルプスの主稜線にありながら、顧みられることの少ないこの山と避難小屋のすばらしさに盛り上がっての企画でした。重荷とラッセルに仰ぎながらも穂高、乗鞍の絶景に息をのみ、鈴ハイ名物?食べきれない絶品料理にのんだくれてひっくり返った、楽しい思い出の小屋です。きっとまたここへ帰ってきて、itaさんに「ただいま」と言いたいな。
合掌。

ふみふみ追記)
とりやさん!さっこちゃん!(板さん!)
特別な、、感動的な、、それでいてワクワクでしみじみ、、、素敵な時間を本当にありがとうございました!
鈴ハイで関わった多くの方々の板さんとの思い出や尊敬する人柄をご一緒に共有する時間を持つことが出来ました。
 十石山の避難小屋はそんな想いを荷物と一緒に担ぎ上げ、ゆったりと過ごせる場所でした。
山で二度寝する時間を持ったのは初めて♪♪♪
みんなで心の栄養も取りました。
 皆それぞれ山への想いは違っても、山の中で、山仲間と純粋な気持ちになって過ごせる時間は私にとって、人生の醍醐味です(大きく言うと)!
今後とも宜しくお願い致します!!

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