<メンバー> ita、とー、asa(一般)
<ルート> 一日目 上高地9:00~10:007合目看板10:30~14:00Ⅴ峰基部
二日目 基部4:30~5:00V峰~明神沢のコル8:30~9:30前穂高岳10:00~10:30コル~12:30
岳沢ヒュッテ13:00~14:15上高地
上高地から見上げて、左より西穂~奥穂~前穂と続き、右手前に堂々と聳えるのが明神岳。
昨年の春に4人でトライした時は、1日鹿天気持たず、Ⅴ峰まで。
今回はその時の一人、とーさんと私の友人のasaさんの3人で南西稜からの完全縦走を目指します。
「今日はⅤ峰までなので楽勝ね。」と、名古屋に5時に集合してのユルユルスタート。
7号看板より一般道外れて尾根道を登ると、麓では既に終わってる山菜がちらほらと。
夕食のおつまみ分だけ摘みながら、雪解けで荒れた踏み跡を辿って行く。
肩に2日間分の水3~4Lと豪華な食材とお酒? の重荷がずしりと響く。
2000mを越えたあたりで、ナイフリッジ帯に入る。
今回は雪が皆無だったのと、メンバー全員経験ルートなので、各自マイペースで登ってもらう。
展望がちらほらと開けてくると、上高地が眼下に、今だ雪を背負ってる穂高が正面に見えてくる。
すれ違ったのはガイドパーティの2人だけ。 今日はビバークサイト貸切となりそう。
カンバ林が現れ、最後のひと登りすると這松に周囲を囲まれたビバーク適地に出る。
ここでの這松はくせ者。 近道しようとして不用意に踏み込んだとーさんがもんどりうって見事に逆立ち。
諦めていた残雪は周囲に有り、水は取れる。 例年より雪解け早いといいつつ、この時期まで水取れるのは有難い。
到着と同時に曇り、小寒くなった為か、水の消費も少なく、翌日行動水も合わせて1.5L程しか使わなかった。
いつもなら、Ⅴ峰往復して景色楽しむのだが、生憎空は鉛色。
こんなんで登ってもしょうがないとまだ日が高いが、テント立ててボチボチ飲む事とする。
一等地にベースを張り、ビールを雪渓で冷やしながらワインと焼酎をチビチビと・・・
酒飲みにはたまりません。お酒を飲めないと―さんはなぜかツマミ料理が得意。
持参のホットサンドプレート。食料庫から出てくる野菜群となぜか油と天ぷら粉、そして途中で摘んだコシアブラやウドの芽
もある。
茄子とコシアブラのソテー
焼きナスやチヂミ、テンプラやバタートースト、そしてピザまで香ばしく焼いて頂き、至福の時を過ごす事が出来ました。
春の日は長く、7時半になりようやく寝れそうな暗さになり、明日の晴天を信じての就寝。
翌朝は4時半発。
外は4時前からライト要らない明るさ。朝食は山頂持ち越しでバタバタと荷をまとめる。
Ⅴ峰へのアプローチは案外難しく、踏み誤るといきなり岩壁にぶち当たる。
過去の経験から、さすがにルートは覚えてるけど日の出には僅かに及ばず。
でも信州側からの朝日は今日一日の活力を与えてくれました。
Ⅴ峰での日の出
頂上の有名なピッケルは風化しつつもまだ健在で、よいモニュメントとなっております。
今日一日の安全祈願?
Ⅴ峰の絶景を楽しんだ後、Ⅳ峰、Ⅲ峰へのアプローチに踏み出す。
尾根通しで行きたい所ですが、途中から絶壁となり上高地側に少し巻き気味に歩くのが正解。
今回はうまく探る事が出来ました。
Ⅳ峰へのアプローチは難しい道は有りませんが、やはり踏み跡薄くどれが正解とも言い難いルートが続いている。
特に特徴の無い山頂を通過し、Ⅲ峰の巻き道に入ります。
こちらはトラバースに入った途端、踏み跡錯綜し、ルーファイに苦労しました。
先頭の動きを見て、後方の人が軌道修正ってのを繰り返しますが、ついに行く手を岩壁に塞がれ、落石に注意しながらルンゼを
尾根めがけて登りました。 途中で踏み跡見つかり軌道修正。
Ⅲ峰越えた鞍部にてホッと一息です。
次は2峰のピークを目指します。更に急こう配な尾根沿いによじ登り、徳沢側への懸垂支点に到着。
15mくらいの懸垂が2段続きます。 2段目の方がキツイですが、偵察でクライムダウン出来たので、逆縦走なら確かに登攀具は不要かも。 眼下徳沢側より有名な東稜が合流してるのが良く見えます。
尾根上にはまだたっぷりな積雪が・・・日があまり当たらないのだろうか?
鞍部より一登りで本峰登頂。お祝いの記念撮影
皆良い顔してます。
日差しはますます強くなり、帰路の雪渓の緩みが心配になってきました。
奥明神とのコルへはやや緩めな懸垂。
早めに現れる支点にセットするとロープ足らなくなるかも。
コルからは前穂より下りてきたパーティがアイゼンセットして雪渓下降の準備中でした。
やがてガイドパーティ×2降りてきて、前穂北尾根からの縦走との事。
ここまでもそうでしたが、日が当たらない所は下が降りてて岩がツルツル!!非常に危険とのアドバイス頂きました。
我々はお初の奥明神沢雪渓を下る予定な為、ここに荷物デポ。
空荷で前穂往復に向かいます。
前穂までは基本岳沢側の側壁トラバース。でもずっと不明瞭、苦し紛れに稜線出る度にクライミング状態。
それはそれで楽しいんですが・・・
後ろを振り返るとあんなに高いと思ってた明神三兄弟もいつしか眼下。
ひたすら正面のでかい前穂に向かって登攀します。右手には雪渓の切れたダイレクトルンゼと夏道の一部。
アリの様に登攀者が見える。 どんな難易度なのかな?
道標が見えると山頂は近い。 東寄りに雪を背負った山頂に着くと同時に緊張がほわ~っと解ける。
裏側を覗くとまさに北尾根最終P2を下降中の3パーティが見受けられます。
こんな時期でも続々と登ってきてる。 昨年はとーさんとあそこまで行ったねと高みの見物。
汗も引いてさあ下山! 来た道引き返すだけなのに帰りもルーファイしくじり、あっちにフラフラこっちにフラフラ・・
気が抜けた今が一番危ないなあ・・・
コルまで戻って最後のミッション、奥明神沢の下降に入る。
FIXロープ伝って、ガラガラとルンゼを下り雪渓上に降り立つ。
雪質、私はちょうど良い位に感じたけど、軽量なお二人にはやや緩すぎ?
ロープ出して、末端部に2人ぶら下げ、スタンディングアックスビレイにて確保。
まずは50m×3本降りる。 冬での雪訓、6月に活かす事になるとは・・・
その後はやや傾斜が緩んだので、スタカットで降りる。 上部も下部もテント泊装備のザックに振り回されたと―さんが
適度に? 滑落してくれて、良い停止訓練になりました。(アックスビレイも勢いつくと首ムチウチになる?)
眼下に見えた岳沢小屋もみるみる近くなり、ゴールイン!
テラスにて昼食タイム取りました。
ここ数年、外人観光客の方がここまで良く来られて、国際色豊か。
小屋から上高地はまではゲストのasaさんにひっぱられて、フル装備なのに1時間で走り抜け、一週間疲れが抜けませんでした。
とーさんの感想
降り注ぐ光の中、空に向かってそそり立つ明神岳の力強い肩に登ってきました。
技術がなくとも岩を愛すれば迎え入れてくれるその頂に立つ。
縦走路を登り返しながら来た道を振り返れば、そこにはたった今歩いてきた印象とは程遠い険しい山々が連なっていました。厳しい山容は一見人を寄せ付けないかのように見えますが触れてみれば意外に優しく、山が好きな人だけに許された世界? 山大好きなお二人に便乗して私もこの空間をぞんぶんに楽しませてもらいました。
奥明神沢の下りは難しくて何度も訓練ならぬ滑落を経験し、いつまで続くのかと沢下を眺めながら効かぬステップを蹴りこんでました。
こんな時期に雪と遊べる♪ ちょっと背伸びした山歩きをありがとうございました。
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