<メンバー>
たろー、ふみふみ、なべちゃん、いさお
<コース:1日目>
親谷の湯P(8:45)~小親谷(9:05)~Ca830m二俣(10:20)~Ca1240m(15:15)C1泊
三度転進を強いられた秋の三連休。翌週は天気も良さそうなので懲りずに沢泊を計画します。行先はこれまで沢では行った事の無い白山北部エリア。白山北部の沢は難易度が高く、参考にする記録も少ないので躊躇していましたが、
「渓相が美しく、沢自体はあえてグレードをつけるとしたら1級上くらい。沢始め、宴会山行、そしてデートに最適な沢」
と書かれた記録に唆され惹かれ、紅葉の時期にチャレンジしてみる事に。
アプローチは岐阜県側から白山ホワイトロードを経由して親谷の湯まで。ホワイトロードは中宮方面が道路崩壊で通行止めの為、片道割引1700円也。
ちょっと時間を読み違え、馬狩の料金所を通過したのが7:30ぐらい(この時期は7:00~通行可)。スタートは8:45になってしまいました。
まずは階段を降りて蛇谷園地へ、そして適当な所から蛇谷に降り立ちます。
小親谷の出合いは小さな滝が架かっています。フリクションを確かめながら滝の左側を登って小親谷に進入。フリクションは思ったより良いみたい。
小親谷の前半はひたすらきれいなナメが現れます。これならデート沢ってのも頷けるなあ(と、この時は思ってました)
時折り、5~6mの滝が出てきますが、雪国の沢だけあって木を手掛かりに登ることが出来ません。基本、ラバーシューズのフリクションを頼りにじわっと登って行きます。淵も水をうまく避けいといけないので、ちょっと難易度アップでしょうか。
標高830m付近の二俣は広いナメ滝がかかっています。右側の滝を少し登ってから左俣に入ります。
やがて出て来る20m滝は左から巻き。記録ではあっさりと書いていましたが、これが中々難しい。
まず、藪も無く岩が露出している小さな支流を登ります(水は涸れている)。ほとんど滝の高さまで上がると傾斜も緩み、灌木も出て来るので上流方向にトラバース。ただ、落ちると一気に下まで行きそうなので、念の為、先頭にロープを引いて行ってもらいます。
落ち口近くから更にルンゼ状を登り、傾斜が緩くなったところで再度トラバース。30mロープ2本つないでの懸垂下降で谷に戻りました。この巻きで1.5時間を消費・・。
次の15mも同じく左から巻き。今回は懸垂無しで谷に戻れました。この二つの滝を巻き終わった時点で12:45。水平距離は予定の半分も進んでいません。さすがに内心焦ってきました。
その後は難しい滝は出てきませんが、微妙なナメがいくつも現れます。滑っていない所を足裏で探りながらペタペタと登って行きます。
時間に余裕があれば楽しいゾーンですが、今日の泊予定地は尾根を乗越して隣の親谷。暗い中のヤブを漕ぎながら尾根を乗り越すのは厳しいなあ・・。
その内、谷はどんどん狭くなってきて登るのも小難しくなってきました。乗越しへの取り付きタイムリミットは14:30と考えていましたが、時間は刻刻と過ぎて行きます。
尾根への取り付きポイントの支流に着いたのは15:00を回っていました。うーん微妙な時間。最悪、水を汲んで尾根の途中でビバークも覚悟しましたが、周りをよく見ると倒木が豊富にあり、焚火は何とかできそう。更によく偵察すると左岸を10mほど登った所に4人が何とか横になれる台地を見つけました。(天は我を見放さなかった~!)
邪魔な木を少し切って平坦な場所を確保。テントは張れないので、念の為に持ってきたタープを張って寝床を確保します。ふう、これで一安心。
谷へ降りるためにロープを固定したら、焚火&夕食の準備。これで何とかいつもの沢泊になりそうです。
焚火の火に当たりながら鍋を食べ、お酒が入ったらやっと落ちてきました。いつもとは勝手の違う雪国の沢の難しさと美しさ、そして「どこがデート沢やねん」と悪態をつきます。(記録を書いた人達はレベルが高いなあ~)
いい時間になったので、台地まで這い上がりタープの下に潜り込みます。シュラフに包まり上からフライを被ると思いの他暖かく、テントでなくても十分眠れました。
タイムアップした時はみんなで膝を抱えて体育座りでビバークも覚悟していただけに正に天国のよう。背中が凸凹で寝心地は悪かったのですがたっぷりと眠る事が出来ました。
<コース:2日目>
C1(6:45)~尾根乗越し~稜線(7:15)~Ca1050二俣(8:30)~姥ヶ滝上・昼食(12:00~12:30)~親谷出合(14:00)~親谷の湯~親谷の湯P(15:00)
2日目。行程は短いですが、昨日のうちに済ませて置くはずの乗り越しを残してしまったので気持ち早めの出発。朝は焚火が出来なくて寒かった・・。
テンバからすぐに乗越しに使えそうな支流に取り付きます。登り始めてすぐに登れないナメになってしまったので右岸の尾根に退避。
尾根に上がると灌木を掴んで登れるので安心感が違います。登って行くと背後に大きなスラブが見えました。これを登りに来る人もいるみたいです。
詰め上げる標高差は50mほど。思ったより藪も薄かったので意外とあっさり稜線に辿り着きました。
親谷への下降は方向を見定めて、木を掴みながら慎重に下りていきます。中ほどまで来ると谷地形が顕著になり、傾斜も緩くなってくるのでそのまま谷中を下降。ちょっとした段差で短い懸垂下降を数回やりました。
やがて親谷の右俣に合流、少し下ると元々泊る予定のCa1050mの二俣に着きました。泊地から2時間かかりませんでしたが、暗闇の迫る中焦りながらのルーファイはミスる可能性があるので、昨日は思いとどまって正解でした。
親谷は時々5~6mの滝が出てきますが、いずれも歩いて巻き下れます。
中盤を過ぎると黄色い岩盤のきれいなナメに変わります。途中、1カ所10m位の滝で懸垂下降しましたが、渓相はとても綺麗で気持ちいい。これならデートできるかな。
姥ヶ滝が近づいてくると堂倉谷の七つ釜を彷彿とさせるポットホールが現れました。夏なら飛び込むんだけど、さすがに10月、全身ずぶ濡れは勘弁。左岸から巻いて懸垂で谷に戻ります。
親谷版七つ釜を越えたらいよいよ姥ヶ滝。眼下には親谷の湯の施設が見え、観光客が滝を見物しています。滝は幅の広いスラブ滝ではてさてどこから降りればいいものか・・。
降りる方法としては当然懸垂下降。我々の持っているロープは30mなので、少なくとも2ピッチ以上は必要になり、滝の途中に如何に支点を取るかがポイントになります。右岸と左岸の地形、木の位置を見比べて左岸しかないだろうと結論に。
左岸の岩壁をへつって灌木帯へ乗越し、まずは1ピッチ下降。
灌木が尽きた所でピッチを切り、下を覗き込むとまさに壁。途中に支点になるような木も見つからず、どうしたものか悩みます。
よーく見ると下の方は傾斜が緩くなっており、左側に支点になる木も有りそうなので意を決して下降。途中でロープが足らなくなったので数mクライムダウンしてテラスに着地します。
後続は途中に残置ハーケンを発見したので、ロープが足らなくなる前にピッチを切ってそこから3ピッチ目下降。1段目に降り立つ事が出来ました。
最後に灌木の中をもう1回懸垂下降して蛇谷本流へ着地。無事生還です。
対岸は親谷の湯(休止中)。そのすぐ下に源泉が沸いていたので入れるか試してみましたが、熱くてとても入れません(残念)
露天風呂施設まで上がり、姥ヶ滝を眺めます。この滝の大きさを見ると30mロープ2本で挑むのはちょっと厳しかったかも。あとは階段を上って駐車場に戻ります。
デート沢のつもりで挑んだ?小親谷から親谷の周回。波乱に満ちた遡行は沢登りを始めた頃のようなドキドキを感じ原点に戻ったような気がします。
ここ何年かは行った事のある沢を再訪する事がほとんどでしたが、やはり未知の沢にチャレンジするのが大事だなあと改めて思った次第。これを機に、このエリアの沢をいろいろ開拓したいなあ。
参加の皆さん、ありがとうございました。
コメント入力