北アルプス 金木戸川 小倉谷から笠ヶ岳 沢登り 2023.08.11-13

鈴ハイ沢屋の夏休み

<メンバー>
たろー、なべちゃん、りー、おりえ、けい、てつや

<コース:1日目>
林道(6:55)~双六ダム(第1ゲート7:15)~取水施設(10:40)~小倉谷出合(10:50)~小倉谷遡行~広河原Ca1380m・C1(14:05)


 以前から話を聞いて憧れていた北アルプス小倉谷への沢泊山行に参加しました。

 綺麗な沢を遡行して最後は百名山の笠ヶ岳ゲットできるなんて、お得で素敵すぎますやん♪(3日目に現れる試練に、甘い考えを打ち砕かれる事になるとはこの時はつゆ知らず・・)

 早朝に金木戸林道に到着。道路工事中の為、予定よりも少し手前から林道歩きを開始しました。1日目の行程はこの林道歩きがある意味核心で、入渓まで林道歩きが約4時間・・。

双六ダムの手前に駐車
双六ダム周辺は工事中
第1ゲート、前はここまでは入れたのに
素掘りのトンネルがたくさんある
またダム
涼しそうだけど入渓はまだ先
取水施設、ここまで来たらあと少し

 大汗でそろそろ足が攣るんじゃないか、と思ってるころにようやく小倉谷出会いに到着。目の前に現れた見事に美しいブルーグリーンの川を泳いで渡って遡行開始です。水は冷たいけど、とても透き通っていてとても気持ちよかったです。

出合に到着
冷たいけど気持ちE

 この日は全体的に岩のフリクションもよく効いて、きれいな水ときれいな景色に癒されながらとても快適に遡行できました。

遡行開始
フリクションは上々
エメラルドグリーンの釜

 予習していたショルダーで超える難所も、たろーさんとてつやさんに2人がかりで助けてもらってなんとかクリアできて安心しました。

ミニゴルジュ?
この這い上がりが難所
カムとスリングを使うも結局人間で押し上げます
2人掛かり
この滝を巻いたら

 15時には本日の泊地に到着。先行者もおらず自分たちだけで快適なテント適地を独占して、まったり焚火やらお酒やらでくつろげました。翌日は6時出発予定なので、日が暮れたら早々に就寝しました。

快適なテン場
百均の火吹き棒が大活躍
乾杯
餃子の皮をおつまみがGOOD
まだ明るいけどウダウダ

記)おりえ


<コース:2日目>
C1(6:30)~長瀞(7:50)~6m滝(8:50)~40m滝下(10:20)~双門滝下(11:20~11:50)~奥の二俣Ca2090m・C1(14:50)


 広河原のテント場を6:30に出発しました。少し先に進むと左手に良いテン場がありました。その後、大ゴルジュ帯に突入します。

少し先にあった極上テンバ
ゴルジュの入口の滝

 朝から泳がなければ取り付けない滝があり泳ぎました。2MCSの滝は、見た目には難しく見えましたが、ロープを引いて左手から接近すると左側のクラックから登れました。

朝から泳ぎ

 ここを過ぎると左から30Mの滝がかかる支流との出合いがあり、とても美しい景色でした。沢のスケールの大きさを感じました!

30m滝が支流から流れ込む
美しい

 後ろのチームが確認できたので、ゴルジュ帯を前進します。残置スリングのある滝は、けい君がロープを引いてフリーで突破しました!リーちゃんも上手くへつり突破!なべちゃんはへつりで敢えなくドボン!(やはり、沢では落ちが必要だな!)

残置スリングの滝 回り込んでしまえば簡単

 直ぐに6Mの滝が…先頭のけい君に行けるか確認するも、けい君の○がとても小さい…嫌な予感…
けい君はあっさりロープを引いて突破しました。続くリーちゃんは岩が濡れているのと、傾斜のあるトラバースが怖かったようでした。

このトラバースが怖かったかな

 ここで、ゴルジュ帯は終了、後続チームと合流しました。上手く短時間で連携作業が出来たと思います。

 ゴルジュの先は…癒しのナメゾーン登場!今回はグラビア沢の女神様のおりえ様が一緒にいます。男性陣はおりえ様のポーズに夢中で我を忘れてシャッターを切りました!グラビア沢とおりえ様は沢の良さを10倍は引き立ててくれますね!

人の字の滝をシャワーで越えると
癒しのナメゾーンでグラビア撮影(おりえ様)
りー様

 ナメが終わると正面に40Mの滝が、カッコイイ滝でした!鈴ハイのナイスガイのてつや(クルーズ)さんは寒かろうと深い釜の所は大概、飛び込みます!ヘタレのなべちゃんとは違いますね!ここは、たろーさんのルーファイで左から笹藪を巻いて滝の落ち口にピシャリと降りました。

ナメの終点に40m滝
集合写真
釜と見れば飛び込むてつやさん
笹藪の巻き
落ち口にピタリ

 両門の滝の前でお昼の休憩、この景色は芸術的な両側の大滝の間に緑がバランスを絶妙に取っていて素晴らしい構図でした。写真では伝わりづらいけど、ここは、素晴らしい所です!

双門の滝で昼食
ここでも集合

 両門の滝は直接突破できないので、左の滝から巻いて次の7M滝を越えた所に踏跡が出てきました。ここから、尾根に取り付いて、笹藪をこいで沢へ復帰しました。

左の滝、登れそうだけど時間を見て巻く事に
また笹薮だけど今回は簡単
このナメを越えた先から尾根を越えて右俣へ復帰

 2段40Mの滝は、下部は右から登って上部は右から登りました。今日最後の30Mの滝巻きも、てつやさんが上手く落ち口へ巻きました。

2段40m
下段を右から越える
今日最後の大滝、30m
巻きは容易

 巻きが上手く出来たので時間的にも余裕が出てきました。滝の巻きは沢では、一番センスと経験が物を言う所です。

滝の上は気持ちのいいテラス
余裕があるのでお昼寝

 そして、奥の二俣のテン場へ到着。2日目になると…お酒の量も少ないのでチビチビと日本酒を飲んで、つまみも無くなる所ですが…。たろーさん、素敵!ザックからジャガイモとウインナーを出しておつまみを作ってくれました!こう言う所が、カッコイイですね! 

 なべちゃんは只、飲んで皆さんの恩恵に預かるばかりですが、ご飯を炊くのは任せて下さい。

少し遡行すると
奥の二俣で幕営

 2日目の山行も天気は好く難所もチームワークでスムーズに上手く行きました!良いチームで皆さんに助けられて、小倉谷を満喫できました!ありがとうございました!

記) なべちゃん


<コース:3日目>
C2(6:35)~笠ヶ岳(10:50)~笠ヶ岳山荘(11:00~11:25)~新穂高温泉(先行隊16:30、本体18:30)


 3日めの朝。今日も快晴です。昨晩は気温もさほど下がらず、沢のせせらぎと共に、みんなよく眠れたようです。

 朝の焚き火を楽しみながら朝食をとります。手早く撤収して、予定どおり6:30スタート。長くなるであろう1日のはじまりに少しだけ気が引き締まります。

 5分も歩くと、この日最初の滝に取りつきます。40mほどありますが、階段状に段差があるので直登。朝のシャワーを済ませます。

朝シャワーの滝
階段状で容易
巻きと直登を交えつつ登る

 小滝をいくつか過ぎると稜線の向こうから朝日が差し込んできました。振り返ると広々とした景色が広がっています。アルプスの青空と朝日は気持ちいい!

アルプスらしい風景

 と思ったのははじめのうちだけで、強い日差しに暑さを感じはじめます。森林限界を越え、酸素の薄さも。5分おきに息を整えながら進みます。

息も絶え絶え・・・

 その時、QAKが発動しました!(急に現れる後続者)。ソロの青年男子が、軽やかな足取りとスマイルでわれわれを置き去りにしていきました、、、。

 やがて沢が細くなり、水がなくなります。稜線が目の前に見えてきました。ここからはルンゼを詰め上がって山頂を目指します。

 われわれは、笠ケ岳の優美な山体だけではない一面を見ることになります。下調べで怖いガレ地帯があるとは知っていました。実際にとりついてみると、すべての岩が浮いています。その一手の、その一歩の、岩のすべてが。

 快晴の北アルプス笠ヶ岳。標高2800m付近。悪魔のジェンガのはじまりでした。

悪魔のジェンガ地帯

 登るにつれ斜度がきつくなります。石が落ちてきても、自分が落ちても、クリティカルな状況。岩が、ゴリゴリ、ギジギシと軋み、悪魔のささやきのようです。

 お互いに距離をとって落石を避けられる位置に入って、スタカット状態で進みます。山頂らしき稜線はそこに見えています。手の届きそうな距離。

安全地帯はすぐそこ

 じわじわと音がしそうなほど、ゆっくりゆっくり。暑さも、喉の渇きも、広大なアルプスの風景も感じられません。手を、足を、歩くというより、そっとそっと置きながら進みます

 ようやく平らな場所にたどり着いたと思ったら、そこはクリヤ谷登山道でした。ルンゼに入ってから1時間が過ぎていました。この夏、いちばん長い1時間でした。

あそこまで行けば

 来たルートを振り返ってみると、震えあがるほどの岩屑の重なりが広がっています。
みんなの声 :「ジャンダルムよりはるかにコワイとこやん‼︎」(略してGHK)

 この極悪ルンゼ。ルーファイとしては、山頂への最短距離です。が、もしかしたら、この極悪ルンゼの左右どちらか側からアプローチしたら、違っていたのかもしれません。

 さあ、ここからは本当に目の前です。初・笠ケ岳のメンバー3人を先頭に、山頂へのレッドカーペットです。1分登ったところで着きました!!無事ここまで来れた達成感と安心感でいっぱいになりながら記念撮影です。

最後の一登り
山頂で記念撮影

 少し降りて、笠ケ岳山荘。テラスをお借りして、ランチ休憩させてもらいます。小屋では布団が干されてのんびりムード。欲しかった炭酸飲料はすべて売り切れていました。ジュースでカンパイです!

ジュースで乾杯

 りーちゃんとおりえさんは、小屋の玄関前で看板をお借りしてグラビア撮影をしています。看板になりたいと思いました。石畳でもいいと思いました。

ここでもグラビア撮影

 いやいや、もし看板や石畳になれたとしても、全世界のりーちゃんおりえさんファンからのクレームが殺到するに違いないです。

 普通の沢屋に戻ろう、気持ちを切り替えて下山に向かいます。ここからが最後の核心。笠新道の急降下が待っています。われわれは、先行隊と本隊の2班に分かれることにしました。

 先行隊の2人(けい・てつや)が新穂高にすみやかに下山。あらかじめ予約したタクシーで出発地・金木戸に向かい車を回収。

 新穂高で本隊を出迎えます。先行隊の所持品ロープは、りーちゃんとおりえさんが持ってくれることになりました。おかげでかなり足取りが軽くなりました。ありがとうございます!(全世界ファンの皆様ゴメンナサイ)

あっという間に行ってしまった先行隊
本隊もボチボチと下る

 笠新道、稜線はガスが出ていて風もあり、歩いている分には涼しい。分岐を過ぎ、下降をはじめてまもなく、雷鳥の親子が出迎えてくれました。それも立て続けに2組も。

雷鳥がお見送り
さらば笠ヶ岳

 気分よく下山&下山。

 先頭に立って引っ張っていってくれるけいくん。20代男子は背中からもイケメンが感じられて頼もしい限りです。探検部時代の武勇伝を聞いているうちに時間は過ぎゆき、林道に降り立ちました。

 湧き水で身体と喉を潤したら元気復活。新穂高まではひとっ走り!(気持ちだけ)新穂高登山指導センターに到着してほどなくタクシーが現れ、スムーズに金木戸までつきました。(濃飛タクシー、約40分、13,000円ほど)

クールダウン

 新穂高まで折り返し運転して見事ミッション完了。やればできるやん。と、ちょっと浮かれてしまいました。

さすが20代

 でも、でも。本当にできる子は、新穂高ではなく、林道終点まで車を回すものなのです。あぁ、、、。本隊のみなさん、歩かせてしまってごめんなさい。

 夕刻の新穂高は日中の喧騒が過ぎ去り、一足早い夏の終わりが感じられました。2023夏。鈴ハイの沢屋たちの夏休みは、心地よい疲労と充実感に満たされて幕を降ろしました。

(でもまだ夏は終わらせないよ!)

 企画してくださったたろーさん、同行のメンバーのみなさん、おかげさまで素晴らしい沢となりました。ありがとうございます!

また沢でお会いしましょう。

記)てつや

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