<メンバー> のろっち、山さん、おけい
<コースタイム>
1日目 立山室堂バスターミナル12:30~雷鳥沢野営場13:15~剱御前小屋15:10~劔沢キ ャンプ場15:30
2日目 劔沢キャンプ場7:00~劔沢小屋7:30~真砂沢ロッジ9:30(休憩)10:00~仙人峠13:00~仙人池ヒュッテ13:10 (休憩)13:45~池の平小屋14:25
3日目 池の平小屋5:00~小窓ノ頭7:45~小窓ノ王8:40~剱岳12:00(休憩)12:40~前剱13:40~劔山荘15:00~剱沢キャンプ場15:45
4日目 剱沢キャンプ場5:30~立山室堂バスターミナル8:00
9月24日(土)から27日(火)のシルバーウイークの週末から翌週の火曜日の3泊4日の日程でのろっちが剱岳北方稜線を企画してくれました。実はのろっちも私も剱岳には行った事がありません。私は登山をし始めたら皆が抱くいつかは劔へという思いで登ってみたい願望はありました。でも登るなら別山尾根や早月尾根の王道ルートだろうなぁと当然思っていました。冬に滋賀県のαルンゼの帰宅途中に車の中で私がなおさんにバリエーションルートでお勧めありますか?と質問したら「劔岳の北方稜線いいよ」心の声→(つ?!劔かぁ行った事もないのに大丈夫かなぁ)と劔岳と聞くとものすごい難関ルートに感じます。それくらい私の中では剱岳は別格の恐れ多い山という感じでした。
それからは家で地図を見たり、動画を観たり、情報収集したりしていつかは行ってみたいなぁと憧れになってました。その頃のろっちに相談しても先ずは別山尾根ルートで登ってからでいいんじゃないとあまり相手にしてくれませんでした。
実際にのろっちが計画したものの、のろっちは何度も自分にはまだ早いんじゃないのか?実力相応な力はあるのか?等色々と悩んでました。幸いまだ日があったため、その日からのろっちは情報収集や苦手な高所での岩場登りや体力作りをしてました。
山行決行を決める最終日まで天候や雪渓、登山道の情報を山小屋や登山用品店、SNSなどの情報収集は最後まで怠らず、尚且つ動画や情報で得た情報は頭に入れ安全に怪我無く登って帰れるかを考えていました。
隣にいて私は何も手伝いもせず終わってから、同じルートで同じ山に一緒に登っているが、達成感はきっとのろっちと私では雲泥の差だろうなぁとまた何よりも最後までしっかりとのろっちが自分で色々と悩みながらも決めて登るという主体性と責任感はとても勉強になりました。そんなのろっちの熱い思いの山行です。
1日目
扇沢駅に10:00頃に私達三重組と長野県在住の山さんが集合し、扇沢駅から関電トンネル電気バス(約16分)黒部ダム(徒歩約15分)黒部ダム駅から黒部ケーブルカー(約5分)黒部平から立山ロープウェイ(約7分)大観峰から立山トンネルトロリーバス(約10分)と立山の玄関口室堂に着くまで4回も乗り物に乗り料金も往復で約1万円近く(ひ~)
なんて金と時間のかかる山なんだと思うが、それほどかけても魅力のある山である。(クソ)
室堂に着きターミナル内の立ち食いそばで腹ごしらえをし、外に出たら目の前には山々がバーンと圧巻です。幸いにも心配していた天候も初日から最終日までほぼ快晴で最高でした。
圧巻な景色に感動しルンルンで歩き出したのに荷物が重いせいかヘロンヘロンで雷鳥沢を通り越し登りになった途端一人かなり遅れだし、すれ違う人には「すごい荷物だね~大変そう」と心配される始末...心の中では(あ~一眼レフカメラ置いて来てよかったぁ~のろっちに感謝だなぁ~)と(笑)実は前日にのろっちに荷物チェックされ、きれいな景色や荒々しい岩稜帯を撮るんだ~と一眼レフカメラを用意していた私はのろっちに「重いし岩稜帯では危ないから頼むから置いていってくれ」と言われ渋々家に置いてきたのでした。事前に地図で時間を調べていたものの雷鳥沢から約2時間で劔御前小屋まで、余裕じゃん!となめてました。
私だけヘロンヘロンでテント場の劔沢キャンプ場に到着し、既にほぼ埋まっているテント場でテント二つが近くで張れる所を見つけて張り、その後3人で寄せ鍋を食べ温まりました。その後直ぐにご就寝、チ~ン。
2日目
私とのろっちは早めに起床してテントを片付けます。事前にのろっちが劔沢小屋に問い合わせしてくれており、3日目に小屋に宿泊するなら荷物を預かってくれるため、大きいザックに不要な物を詰め込みます。山さんは3日分のテント代を支払ってるため、3日間テントを張りぱなしで行きます。
小屋に二人の大きいザックを預け、キャンプ場の所にある派出所に寄り雪渓の状態などの情報を確認します。外にもホワイトボードに雪渓の情報が書いてあるのですが、のろっちは派出所の中まで聞きに行きました。派出所の方は丁寧に情報を教えてくれ、のろっちは情報を頭に入れて戻って来ました。ヨシッ!出発進行です‼
劒沢雪渓を本来ならば下るのですが、行った時期は9月下旬その年の気候にもよりますが、私達の時は溶けており劒沢沿いの夏道を行きました。しかし日本三大雪渓(白馬大雪渓・針ノ木大雪渓・剱沢大雪渓)の一つである劔沢雪渓のため、ところどころ雪渓が残っています。
夏道はマーキングもあり、沢の石の上を歩いて行く感じです。しばらく歩くと対岸に目印の大きな岩(大岩)があり剱沢に流れる平蔵谷があります。映画で見た「点の記」を想い出します。その後途中1カ所大きなスラブ状の岩場を下りトラバースするような所がありましたが、しっかりした鎖も付いており全く問題無しです。
そこを通過するとまた対岸側から剱沢に流れる長次郎谷があります。ここから夏道から雪渓を横切り対岸へ移ります。雪渓にはところどころクレバスも見られます。横切るのも約50m程といった感じです。傾斜も緩い感じだったので、3人共アイゼンは付けずにストックのみで横切りました。
対岸の移った先には源次郎尾根に取り付く場所でもある為、上の方にもマーキングや踏み跡があります。私達はそのまま下り方面の踏み跡を行きます。
長次郎谷くらいまでは左手に荒々しい岩峰を遠巻きに見ながらといった景色でしたが、この辺りから標高も下がるため木や草が段々と茂ってきます、ですが危険個所や迷うことなく真砂沢ロッジに到着です。ここで小休憩を取ります。トイレを借りましたが、トイレの中に面白い張り紙がありました、また行った際は見て欲しいです(笑)
この真砂沢ロッジに私達が到着した際に入れ違いに3人パーティーが出発しました。この3人は後に同じ小屋に宿泊し翌日も同じ日程の兵庫県から来た方達でした。
真砂沢ロッジからしばらくすると右手にハシゴ乗越経由で黒部ダムへ抜ける登山道があるのですが、大雨による増水で橋が流されてしまったようです、真砂沢ロッジのご主人が一人で一生懸命復旧作業をしてくれてました。
しばらく行くと沢の壁沿いに丸太が組んであり、壁をつたって行く所がありましたが、ここも難なくクリアです。
二股吊橋から仙人新道へ入ります、ここから登りに変わります。
樹林帯の中ですが、陽がよくあたるため丁度時刻はお昼頃で気温も高くじりじりと私達を照らします。そのためペースダウンです。
なかなかの急登にヒーハー言いながらも、仙人峠の分岐まで来ると時間的にも余裕があるため仙人池に寄り道しました。分岐から小屋まで木道が敷いてあり周りには花は終わってしまってましたがチングルマが咲くようです。また仙人池には逆さ剱が映り込むようです。
仙人峠から今日の終点池の平小屋を目指します。あ~後もう少しだ~と皆気持ちも脚も軽くなります。池の平小屋が見え始めるとテンションも上がります。
上から見ると池の平小屋の下の方は湿地帯のようになっていて木道も敷いてあり遊歩道がありました。
池の平小屋に到着しました。小屋のご主人が「池平山の方に行くとハイジの庭と言っているところがある花は終わってしまってるが夏場はお花畑になるきれいな場所がある」と教えてくれました。時間もまだ早いため3人で行くことにしました。
途中から便秘症の私のお腹の調子が悪くなり、私は先に小屋に戻ることにし、のろっちと山さん二人で行ってもらいました。
この池の平小屋では、なんと小屋の宿泊者にはお風呂のサービスがあります。五右衛門風呂と内湯があり、五右衛門風呂は窯でご主人が薪をくべてくれます。
ハイジの庭から戻った山さんは、早速五右衛門風呂に入り薪をくべてくれてるご主人と談笑しています。声がでかいので小屋の中まで丸聞こえです(笑)
私とのろっちは内風呂に入りました。ガスで沸かしてくれてると思いますが、山では大変な事なのでありがたいです。またテント場はフカフカの芝生でした。
小屋にはただでもらったというバズーカ砲のような高そうな天体望遠鏡があり、夜には皆に星空観測のサービスもありました。ただ呼びに来てくれた頃には私とのろっちは爆睡で、山さんは星空観測したそうで土星のリングが見えたと言っていました。
3日目
朝5:00小屋を出発します。兵庫県からの3人パーティーも同じ時間帯に出発のようでしたが、一足先に3人パーティーは出発しました。
途中直ぐに追いつきそうになりましたが、登山道が狭いトラバース箇所(旧鉱山道)のため山さんがここで追い越しは危ないので先に行ってもらって、安全な場所で抜こうということにしました。狭いトラバース登山道が終わる頃、小窓雪渓に降ります。ここがどこから降りるのか少し迷いましたが、3人パーティーが降りている辺りに私達も降りることにしました。
3人共アイゼンとストックを準備し雪渓を登ります。傾斜は少しありますが、怖い感じは無いです。丁度太陽が登り始め朝陽を背に浴びながら登ります。
アイゼンは軽アイゼンで十分でした。
小窓雪渓もところどころでクレバスがあります。そして時折嫌な不気味な音が聞こえてきます。山さんによるとそれは雪渓の下に水が流されているため中側が崩れ落ちた時の音だと。雪渓が終わる頃3人パーティーに追いつきました。先に行って下さいという事で先に行かしてもらうことに。
ここからは草付きで小窓ノ頭手前まで急登を登ります。登りきると細い尾根に出ます。そこを左手に進みます、ハイマツや岩の間を通って行くと小窓ノ王です。
「あそこ登れるの?...」
ここで3人共池ノ谷ガリーの急斜面に息を吞んでいるとあの3人パーティーが追いつきました。3人で作戦会議です「あの池ノ谷ガリーは落石が危ないから、一緒に行くと危ない。どっちが先に行く?」と山さん。のろっちが「相談してくる」と言い3人パーティーにどちらが先に行くか交渉しに行きました。幸い3人パーティーはここで昼食を取ると言ってくれた為私達が先に行くことになりました。
※ここは非常に危険なので他のパーティーがいる場合は時間をかなり空けてから進んでください。後続パーティーがいる場合にも注意勧告必要だと思います。
ここからガレ場を約100m程下ります、下りもなかなかの急斜面にガレガレです。
今度は池ノ谷ガリーです。こちらは長い長い急斜面のガレガレを登ります。片足置くたびに石が落ちそうな感じで体重がなかなか預けれません。山さんが「落石させてもいいから縦に並ばず皆横に並ぶように」と言い皆横に離れて登って行きます。
急斜面で直ぐに崩れてなかなか登れないので時間がかかります。
それでも何とか登り切り池ノ谷乗越に到着です。ここまではマーキングもありわかりやすいです。少し休憩を取りいよいよ剱岳の岩稜帯の稜線上です。
ここからは一気にマーキング等は無くなります。GPSや踏み跡を参考に進みますが岩の向こう側といった感じで先が見えない為、岩稜帯の稜線上は少し迷うところもありました。
岩稜帯の為、岩場の登りもあります、ステップやホールドは凸凹してるため登りやすいですが、高度感は半端ないです。
剱岳山頂が段々と近づいてきます。長次郎谷を登ったことのある山さんが「ここからルートはわかる!」と先に行ってくれました。最後の登りです、大きめの石を登って行きます。
登ると向こうの方に人が見えます、山頂はあっちか!と人の方へ歩いて行きます。
休憩してる人と祠が目に入ると「やったー!!着いた~!!」とでかい声で私が叫んだら休憩してる人が「どこから登って来たんですか?」「北方稜線からです」「・・・?」その後はのろっちがルートを説明してました。
山頂からの景色と長いバリエーションルートを登った達成感は最高の気分と気持ちよさでした。山頂の祠にはかわいいオコジョがおり、人馴れしてるのかチョコチョコと走りまわり私達を歓迎してくれてました。
山頂で皆で無事に登ってこれたと喜んだあとは王道の別山尾根ルートを下ります。
「脚も疲労してるけど最後まで気を抜いたらあかんで~」と山さん。その通りです!私も疲労してる下りこそが核心だと慎重になりました。
剱山荘まで着いたらホッと一息です。山さんが「ここは冷蔵庫で飲み物を冷やしている」って事で皆でジュースで乾杯です。キンキン!!
その後剱沢小屋で山さんはテントに私とのろっちは小屋に宿泊です。
ここの小屋は温水シャワーがあり、「さっぱりして気持ちいいよ」とのろっちが勧めるので利用したけど寒いじゃねーかよー!!全身鳥肌!!秋はお勧めしません(笑)
4日目
天候も昼から雨予報が出ていたため、早めに出発しようと言うことでお弁当を注文していました。食堂を利用でき即席の味噌汁も用意してあり、温かいお茶と味噌汁が飲めるので寒い朝にはありがたいです。
テント場で山さんと再会し、うす暗い中を出発です。剱御前小屋までまた登りですが、食料も減ったため大丈夫です。途中パラパラっと雨があたりましたが、気にするほどではないです。みくりが池温泉を過ぎた辺りで火山ガスの匂いで私が嘔吐いているのに横では
山さんは「いい匂い~♪好きなんだよこの匂い」「おぇ~変人か?」
無事に立山室堂バスターミナル到着、また同じルートで復路を帰ります。ただ途中ロープウェイに乗る前に大観峰で3人で景色を堪能しました。
初めての長旅バリエーションルート、企画してくれたのろっち、同行してくれた山さんありがとうございました。私は2022年度の最高の思い出となりました。
<記>おけい
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