御在所 氷雪訓練その1  2017.12.30

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アイスガーデン 三ルンゼ


【メンバー】 ita くろ

【コース】 満天星駐車場 6:00~一の谷新道~9:45御在所山頂~10:15三ルンゼ12:30~藤内沢~裏道~14:30満天星駐車場


御在所は一年中色々な楽しみ方ができる山である。春のアカヤシオや秋の紅葉、岩登りも盛んである。そして冬はアイスクライミングまでできてしまう。山登りを始めて4年。毎年ジャンルを広げているが、今年はアイスクライミングに挑戦したいと考えていたところへ「雪、氷、岩mixルートの歩行、登攀を楽しむ」という企画が上がった。まだまだ登山レベル初級の私には不安が先に立つものの、一歩踏み出さないと不安は解消されないので、思い切ってエントリーしてみた。

当初の予定ルートは裏道からαルンゼを経て3ルンゼへ渡り、氷瀑でアイスクライミングを体験したあと裏道で戻るものだったが、「ロープウェイ組に先を越されない為には、最短ルートで登るしかない!」とのリーダ提案で、一ノ谷新道を使うことに。

中道Pから登山口へ向かう。御在所山の家から先には踏み跡があった。『誰か登ってるのならラッセル不要か?』との期待もむなしく、踏み跡は本谷の方へ向かっていた。一ノ谷新道は最短ルートなだけに、結構な斜度である。アイゼンを履き、ピッケルをダガーポジションに構え、膝辺りまで埋まりながらルートを開拓する。この日に向けて雪壁の登り方を本で勉強していたが、現地(αルンゼや3ルンゼ)に到着する前にダガーポジションを使うとは思ってもみなかった。「アプローチのつもりだったけど、いきなり本番斜面だね(^^)」というリーダの言葉に『(;;)』

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腰ラッセル&トラバース

少し開けたところからロープウェイの試運転風景が見えた。「この調子ならヨーロピアンスタイル組に負けるな…」というリーダの言葉に焦りがでるも、技術も体力も初級の私はこれ以上のペースアップができない。アゼリアに到着した頃にはロープウェイがバンバン動いており、元気にそり遊びをする子供たちのはしゃぎ声が響いていた。

ハーネスを履き、これから想定される寒さに対応するため上着を一枚増やした。先程まで履いていたアイゼンは山頂の遊歩道を歩くために一度外す。中道下山口まで来た辺りで冷たい北風が吹きつけてきた。寒い。厚手のバラクラバを被り、アイゼンを装着する。いよいよ3ルンゼへ向かうのだが、『ここを下るんですか??』という急斜面が目の前にあった。

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青空をバックに

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雪庇乗り越えます

立ち木を掴みながら何とか下ると、目の前に氷瀑が姿を現した。「トップロープを張ってここで少し遊んでみますか?」と言いながら、準備を始めるリーダ。沢筋から冷たい風が容赦なく吹き上げてくる。ハーネスにロープを結び、セルフビレイポイントを探すがピッケルが深くまで刺さらない。「まあ、無くてもいいでしょ」と軽く言われ、『(そーなの?)』と思ったが、とりあえずリードで登るリーダのビレイを始めた。

ビレイヤーは寒いと聞いていたが、めちゃめちゃ寒い。50mロープが半分程度出て行ったところでトップロープの支点を構築するリーダ。残りのロープを見て『(足りるか?』と焦る私をよそに「テンション!」と声が掛かる。ロープを繰り出しながらリーダを降ろす。ロープの残が無くなるのと、リーダが降りてくるのが同時であった。『ギリギリでしたね』と声を掛けると、「いつも張ってる場所だから大丈夫(^^)」とのこと。

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まずは基本から

  さて、私の番である。アイスアックスとアイゼンの刺し方を少し教わり、氷壁に取り付いた。右手、左手、右足、左足と順番に刺してみる。「もうちょっと踵を下げて!」『(うーん、こんな感じかな?)』と考えながら登っていく。アックスもアイゼンも一発で決まると良いが、氷が割れて二度三度と刺し直す。氷に対する角度が良くないようだ。斧で木を割るとか、金槌でくぎを打つとか、同じ位置に何度も振り下ろすという動作が昔から苦手である。垂壁になっている部分もアイゼンが決まればそれほど苦も無く登っていける。氷壁の方がホールドとかスタンスを気にしなくてもいいので楽だと気付く。

1本登り切り、下りもクライムダウンで降りる。長いこと氷壁に張り付ていたからか、気付いたら両手の指先が凍傷になるのではないかと思えるほど寒い。「握り過ぎたんじゃない?最初はみんなそんなもんだよ」と言われたが、寒いものは寒い(笑)「氷に刺すというより、平らなところを狙って置きに行く感じでアックスを使ってみて。アックスは手の延長だから」とアドバイスを受ける。リーダの2本目は私へのアドバイスを実践するかのように、そっとアックスを掛けていく。自身の2本目はアイゼンの角度に注意しながら登ってみる。アックスがしっかり掛かって安定する感覚はすぐに分かったが、アイゼンの前爪に体重が乗っかる感覚がよく分からない。

一歩ずつ確かめながら登下降を行った。それにしても谷から吹き上げる風がとても寒い。『(こんな場所でお昼ご飯は無理やな…)』と考えていたら、「降りましょうか?」と言われホッとする。せっかくトップロープを張ってもらったのにたった2本で撤収するのは申し訳なかったが、寒さに耐えられない。リーダが支点まで登り、セルフビレイを取った後「ビレイ解除!」と声が掛かる。ATCからロープを抜き、ハーネスのエイトノットを解除してダウンジャケットを着こんだ。リーダが上で作業しているのに申し訳ないが、寒いんだもん。

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だいぶ様になってきましたね!

  ザックを背負い、新雪の藤内沢を下り始めた。新雪だから怖さも和らぐが、雪が無かったらこんなところは下れない。途中、藤内沢を登ってくる顔見知りに遭遇したり、シリセイドで下ったりと、それなりに楽しみながら裏道の分岐へ到着。ここでアイゼンを外し、藤内小屋まで下った。藤内小屋に着いたのは13時過ぎ。下山予定時刻までまだたっぷりと時間が残っているのが申し訳ない。ちょっと遅めの昼食を頬張り、駐車場へ向かった。

初めての雪壁&氷壁は、本で予習した通りには行かなかったが、とても貴重な経験を積むことができた。最初の一歩を踏み出させてくれたリーダに感謝である。   記 くろ

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