<メンバー>
のろっち、おけい、まひろ
<コースタイム>
●1日目
猿倉登山口6:30~白馬鑓温泉小屋10:00~(小休憩)10:30~白馬鑓ヶ岳12:40~天狗山荘
●2日目
天狗山荘5:15~天狗の頭5:40~Ⅱ峰北峰8:00~唐松岳9:00~唐松山荘9:40~八方池山荘12:00~白馬八方バスターミナル12:50
1日目
9月に入った週末にのろっちが白馬の不帰ノ嶮を企画してくれました。のろっちは9月末に剱岳の北方稜線を企画しており、高所の岩場が苦手なのろっちとしては剱岳の予行練習にもなると前々から考えてはいました。
8月はお盆休みも雨ばかりでほぼ計画が中止が多かった為、不完全燃焼な私としては岩稜帯の企画にワクワクしていました。でも期待を裏切るかのように天気予報は雨模様ばかりで今回もダメかなぁと半分諦めていました。
3人で相談した結果3人共行きたい気持ちはあるのでギリギリまで待とうと、出発前日(木)ものろっちは相当悩みまた3人で相談、2日目条件として天候が悪くなった場合と近くに行って岩場が濡れている場合は途中撤退もありで行くという条件で3人で合意の上金曜日の夜に会社から帰って直ぐ出発しました。
途中一宮JCT付近から工事渋滞にはまり、東海北陸道から廻り土岐JCTからまた中央自動車道に戻り車を交代で走らせました。
夜中1時半ごろに猿倉の駐車場に着き、睡眠不足では私が直ぐにばてるので出発時刻を少しずらしてくれ、睡眠時間を確保してくれました。
それでも6時半には出発しました。まひろ君は若いのにシャキーンと起きてササッと身支度を済ませ年寄り二人を待ってます。
出発はポツポツと小雨でしたが、段々と雨も強くなり出だしの2時間は降られました。
鑓方面から登るのは私は初めてであまり情報が出ていないので、利用する人が少なく登山道はすごく荒れているのかなぁと思っていました。
実際は全くそんな事はなくピンクのマーキングテープも新品かなと思うくらいきれいで登山道や沢にかかる橋もきれいに整備されていました。
大きな沢(杓子沢?)に出るまでは樹林帯で足元は雨のせいでぬかるみが多かったですが危険なところもないです。すごい轟音が聞こえてきたなと思ったら一気に前方がバーンと開け大きな沢が見えます。
なべちゃん登りたいだろうなぁと思いながらも、ここにくるまでチョロチョロと流れる小さな水場で水を汲んだり手を洗ったりした時ものすごく冷たかったので寒いだろうなぁとも思いました。
この水の冷たさは、雪渓が沢の横にところどころ残っていたため雪解け水なのでしょうか。
下界にいるときは蒸し暑くクーラーをつけている生活なのに、陽があったってもこんなに残っている雪渓に自然の不思議さを感じます。
沢を渡る手前や渡ってからはガレ場のトラバースがあり、この辺りは落石が起こりやすい感じでした。
また沢に来るまでと沢から鑓温泉小屋までは、まだ花が何種類か咲いていて私達を楽しませてくれました。ここでまひろ君がこんなに女子力が高い人とは思いませんでした。女性の私より花を見つけるとパシャパシャと携帯で花を撮ってます。まひろ君は後で何の花か調べて名前を覚えたいと。
すごいなぁとその時はおばはん感心しましたが、後でムムムさては女の子と来た時のためだな(ニヤニヤ)青春っていいね!
鑓温泉に着くと無料で足湯があり小休憩を兼ねて3人で足湯につかりました。
足湯でいいので全身つかりたいくらい湯加減も丁度よく気持ちいいです(笑)
私は鑓温泉はネットで見た時は露天風呂から朝日が見える写真だったのでもっと断崖絶壁に建っていると思っていました。また翌週にはもっちゃんがこの鑓温泉に宿泊する山行を計画していたので、3人でいい計画だね~私達もここに泊まって温泉入りたいねぇ~と心折れそうになってました(笑)それくらいいい温泉でした。
鑓温泉小屋からは少し岩場の登りになりました。鎖もあります。そこですれ違った年配の男性パーティーが「もう少し行くとチングルマの群生だよ」と教えてくれました。
岩場が終わったころ木も高山植物に変わってきたら一面チングルマ畑です。もう花は終わってますがほんのりピンク色の綿毛がかわいらしいです。
稜線の少し手前まではチングルマ畑でした。
私が稜線手前でバテバテになってきた頃やっと稜線に出ました。直ぐ分岐で左に行くと約20分程で今日宿泊する天狗山荘です。ゴールは目の前でしたが、雨も降っておらず時間も丁度お昼頃だったのでまひろ君の「鑓ヶ岳まで約40分で行けますよ」におばはん欲が出て
せっかくここまで来たから登ろうと。でもいざ登り始めると雨が本降りで降り始めましたが、皆で頑張って登りました。白馬鑓ヶ岳は白くザレた斜面とハイマツの緑のコントラストが美しくシャープでカッコイイ山です。
後で調べたら山肌が白く見えるのは石灰岩のようです。
雨の中登り小屋までも降り続いたため、皆全身びしょ濡れです。靴の中もびしょびしょになり天狗山荘に到着しました。
天狗山荘のスタッフの方が宿泊は私達含め4人だけだと後は天候不良で50名程キャンセルになったと言っていました。びしょ濡れの私達のためにスタッフの方は乾燥室のストーブに直ぐ火をつけてくれ、ストーブもずっとフルパワーにしてくれました。そのおかげで衣服や靴まで朝までにはすっかり渇いていました。ありがたい心使いでした。
夕食まで各々ゆったりとした時間を過ごし、待ちに待った夕食は天狗山荘名物天狗鍋です。
普通の寄せ鍋ですが、山の上で食べると最高のご馳走です。
2日目
2日目朝5:30に出発しました。雨もすっかりやんでますが、ガスガスで辺りは真っ白です。ですが、今日は核心の不帰ノ嶮に行くとあって3人共朝から興奮気味です。
早く行って岩が濡れているのも怖いからと足取りも慎重です。陽が段々と登るにつれてガスも晴れていき、途中にご褒美にブロッケン現象を見ることが出来ました。
まひろ君は若いのに「徳を積むから」と途中ゴミを拾ったりしていた為、何度もご褒美を見たそうです。本当に良い子だ‼
ここからがいよいよ核心部だ!という辺りまで来た頃には陽も登りガスも晴れ視界も良好岩場も渇きフリクションも大丈夫です。でも目の前に見える鋭い岩峰2つに皆で息を呑みます。
慌てず慎重に‼にを合言葉に、先ずは天狗の大下りです。
標高差400mを一気に下ります。途中スラブ上の岩場を鎖を使って下る所もありますが、鎖もしっかりとしてるため高度感はありますが、皆大丈夫です。
最低のコルまで下ったら、今度はⅠ峰を目指し岩場を登ります。遠くから見ると壁が立っているように見えるため息を呑みますが、近くまで来るとマーキングとホールドやステップもしっかりとしている為安心して登れました。
2人はこの先のⅡ峰北峰手前の梯子が橋状にかけてある箇所をやたら気にしてます。
梯子の長さは約2m程といった感じですが、梯子の隙間から下が見えるので、怖いのかな?
ですが実際その場では2人共大丈夫でした。思ったより怖くなかったようです。
このⅠ峰からⅡ峰北峰までが一番の核心と言われてます。
ここでのろっちが「Ⅱ峰南峰まで行ったら心を落ち着かせるために1本だけ煙草を吸わさせて」とビビりの薬になるなら仕方ないと。北峰のピークに着くまでは鎖も多く、鎖を掴んで横にトラバースも多かったように思います。
しかし日頃の沢業のおかげか皆ビビることもなくしっかりと落ち着いて行動出来、雨の翌日ということもあり人も少ない点も良かったのか私は皆充分に楽しめたと思います。
「意外と大丈夫だった」とⅡ峰南峰で煙草を吸うのろっちは、心を落ち着かせる1本ではなく、ビビることなく充分楽しめた満足する1本だったと思います。
緊張感から解放され、疲労感が出てきた頃、唐松岳山頂に到着です。こちらはゴンドラなどを使い日帰りで来れるとあってすごい人です。
4人で登りに来ていた若いお兄さんが私に「不帰ノ嶮に行ってきたんですか?どうでした?」と「鎖もしっかりしてるし、大丈夫でしたよ」お兄さん「すごいですね!自分はまだまだです」と。
私も去年まではお兄さん側で怖い所へ行ってきた人に同じような事を聞いていた事を思い出しました。不思議な気持ちとこの歳で成長出来た事も嬉しいです。また3人で無事に楽しんで登頂出来た山行だったと思います。
チャレンジ企画してくれたのろっち、一緒に参加してくれたまひろ君ありがとうございました。
<記 おけい>
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