<メンバー>
たろー、なお、なべちゃん、いさお
<コース>
1日目
美濃戸・手前(13:30)~赤岳鉱泉(16:30)
2日目
〇なべ、いさおチーム
赤岳鉱泉(5:30)~下部岩場登攀開始(7:30)~稜線(11:00)~地蔵尾根~行者小屋~赤岳鉱泉(14:30~17:45)~美濃戸(19:30)
〇たろー、なおチーム
赤岳鉱泉(5:30)~下部岩場登攀開始(8:30)~稜線(14:30)~地蔵尾根~行者小屋~赤岳鉱泉(17:00~17:45)~美濃戸(19:30)
<プロローグ>
2月に欲張り過ぎと痛恨のミスで敗退した石尊陵にリベンジです。今回は土曜日移動、日曜日アタックという自分たちの身の丈にあった計画にしました。
<1日目>
しかし、土曜日は生憎の雪。「赤岳鉱泉までなんで何とかなるでしょ」ということで出発しましたが、まず車(4WD+スタッドレス)がスタックして美濃戸までたどり着けず、1kmと少し余分に歩きます。
溶けた雪がカチカチに凍ったうえ新雪がつもった道はすこぶる歩きにくく、しんしんと降る雪に気持ちはどんどん沈んできます。美濃戸から赤岳鉱泉へは今まで何度も歩きましたが今回が一番長く感じました。
さっさとテントを設営し、早めの食事にそこそこのお酒。明日の登攀に備えて早く寝ます。
<2日目>
天気は上々、前回の反省を踏まえ5時半にはテントを出発します。取りつきへの道は幸いにもトレースがあり、ラッセル敗退はなさそう。思ったよりも順調に取りつき点に到着です。
取りつきでは先行Pがちょうど登り終わったところ。待ち時間なしでスタートです。今回も「なべ&いさお」チームと「たろー&なお」チームに分かれての登攀。前回、下部岩壁をクリアーしているなべちゃんチームはスムーズに登っていきます。
いよいよ我々の番。気合を入れて取りつきましたが、実際登って見ると下から見る以上に立っており、しかも所々に草付きのあるスラブのような岩壁。まともなホールドは無く、アックスの刃先にすべてを委ねなくてはなりません。
さらにシングルアックスだったのでホールドが限られ思い切り腕力に頼る登りになってしまいました。何とか立木の終了点にたどり着いたものの、この時点で腕がパンパンになってしまいました。
2ピッチ目、なんとなくフリーで取りついてしまい、一旦降りて仕切り直しというミス。1ピッチ目で精魂尽き果ててしまい、なんかグダグダな感じになってしまいました。
下部岩壁と上部岩壁をつなぐ雪稜ゾーンはロープを外して各々が歩いていくつもりでしたが、事前の意思疎通がうまく取れず、なおちゃんがロープを引いて雪稜を登っていってしまいました。中途半端なスタカットになってしまいここでも大幅に時間ロス。
先行するなべちゃんチームは影も形も見えません。とても素晴らしい景色だったのですが、正直、景色を楽しんでいる余裕はありませんでした。
下部岩壁にとりついた時間は予定では稜線に上がっているべき時間。うーん。しかし、ここで引き返す訳にも行かないのでなおちゃんリードで登攀開始。なかなか苦労しているみたいでロープが伸びていかない。そんなに難しいとか書いてなかったけど・・。
と待っているうちに天気がどんどん崩れてきます。やっと合図があり、フォローで登り出す頃にはガスが出てきました。登攀自体は1か所、勇気のいる所がありましたが、そこさえ超えてしまえばホールド豊富で快適な登り。なおちゃんはココゾという所でしっかり支点を取っていたのはさすがだなあ。
終了点からリードを代わり、一応ロープを引いていきましたが、トレースをたどって簡単なルンゼルートを選んだので基本ロープは必要なし。あとはコンテで傾斜の緩いルンゼを詰めて何とか稜線に辿りつきました。
ガスガスの稜線を何とか歩いて地蔵尾根を下ります。雪で視界が悪く冷っとする場面もありましたが何とか行者小屋に到着。緊張が解けたのか急にお腹が空いてきました。
残った行動食を全部食べ、赤岳鉱泉に向かいます。先に降りているなべちゃんたちはテント畳んでおいてくれてるかなあ・・なんて談笑しながら歩いていましたが、待っている方は余りにも遅いと思ったみたいで、あと5分到着が遅ければ救助要請するつもりだったそうです。(すいません・・反省)
何はともあれ、テントを撤収し美濃戸への道を急ぎます。途中からヘッデンが必要になりましたが、何とか車に辿り着き、風呂も入らずに帰路に着きました。
結局家に着いたのは午前様。長ーく、濃い二日間、本当にありがとうございました。精進して、またトライしましょう。
記 たろー
<なおの感想>
数々の反省点はありますが、それでも間違いなく私の今冬一番のいい思い出になりました。
石尊陵は下部岩壁〜雪稜帯〜上部岩壁という飽きのこない構成。雪稜帯のリッジの美しさには何度か見とれてしまいました。急がなきゃいけないのに…笑
下部岩壁たろーさんリードだったので上部岩壁は私リードで。壁は立ってるし高度感凄い。なかなか弱点が見つけられない所が一箇所あり小同心トラウマ発動しそうになりましたが、「行くしかない!冷静になれ!」と自分自身に言い聞かせ…そしたらカムがガッチリ決まるところを見つけて思いきって登れました。なんとも言えない幸福感。これがあるからやめられないんです。
下山遅れで心配かけてるにも関わらずいさおさんなべちゃんに大きく手を振りながら満面の笑みでテン場に帰還。本当に申し訳ありませんでした。
そしてメンタルも体力も弱い私をいつもいつも励ましてくれて一緒に挑戦してくれるたろーさん、ありがとうございます。来年は小同心クラックリベンジかな?
中山尾根なんていつ行けるようになるのかなぁ?また皆さんとチャレンジ出来る日を楽しみに励みたいと思います。
<なべちゃんの感想>
今年の冬のバリエーションで目標にしていた石尊稜にリベンジの機会を頂きありがとうございました!
今回、下部岩壁は核心だけの事もあり、中々に厳しい登攀です。ヌンチャクにぶら下がったり、ゴルジュハンマーにぶら下がったり、突破できましたが…
ヌンチャクを一杯かけてロープの摩擦係数が多くて、引っ張るのがめちゃくちゃ大変過ぎました。
反省点です。どうしたらよいのか?
パートナーのいさおさんと反省会をしていると、スリングをアルパインヌンチャクにして長くすればとのアドバイス、成る程な〜数字に強い人は解決も早いですね!自分だったらヌンチャクの数を減らすしかないのかと考えていました。危ない危ない!
ヌンチャクを5個も掛けて、50Mロープを使って、屈曲させれば、それは重いよな〜(勉強になりますね!)
バリエーションの難しさは、ロープの制動を考えて適切なナチュラルプロテクションを選択する事と、自分の目で次のルートをフリーで行けるなら直ぐにロープを出さずに偵察する事だなと、今回は学習できました。
案外、少し進むと、フリーで行けたりできるので、つるべに拘らず、まず、偵察をして、判断すると良いかなと感じました!
やたらとヌンチャクを掛けると、自滅するので気をつけていかなければと思いました!
しかし、頂上に立った時の達成感はやはりバリエーションの醍醐味でした!
素晴らしいパートナーにも恵まれ、石尊峰の頂きに立てて良かったです!
<いさおの感想>
2月にチャレンジして途中撤退した冬期バリエーション・ルート石尊稜。再チャレンジの計画を聞いたとき、正直「やってやるか!」という気持よりは「大丈夫か…」という気持の方が強かったと思う。それほど、筆者にとって雪の石尊稜は手強かった。ただ、こんな素人に声をかけてパーティーに加えてくれたメンバーの期待に少しでも応えたい思いから参加を決めた。
心臓バクバクの筆者であったが、応援してくれる人の励ましのおかげで、山行直前は、かなり落ち着いた心理状態で臨めた。有り難う御座いました。
今回は、前日に赤岳鉱泉に入り、体調を整えてアタックに備えた。鍋を囲んで談笑するテント内に一筋の緊張感が漂っていたように感じたのは、ナーバスになっていた筆者の気のせいだったのか?
明けて翌日、明るくなると共に行動開始した。石尊稜取り付きまではトレースもあり比較的スムーズに行くことが出来た。ペアのなべちゃんがリードで登攀する。続いて筆者が登る。前回の経験があるからか少しは余裕があったが、シビれる登攀であることに変わりは無い。ここをリードで行くにはプレッシャーが凄そうだ。
下部の岩稜帯を1ピッチで抜けて雪稜帯を歩く。ようやく周りを見る余裕が出てくる。快晴の中、素晴らしい景色が拡がる。雪稜帯を抜けて下部岩稜帯へ取り付く。
1ピッチ目はなべちゃんリード。下部岩稜帯よりは優しいという前情報であったが、高度感バリバリの箇所もあり、魂ふるふるである。なべちゃん、良くリードでヒョイヒョイ行くなあ。ロープに確保されて何とか確保地点まで登った。
2ピッチ目は筆者がリードで登るが、トレースのついたルンゼを登ってしまう。本来のルートはルンゼ左のリッジであったようである。こころの中では、リッジが登攀ルートかなあと思ったのであるが、もうお腹いっぱいだったので楽なルートに吸い寄せられた。(笑)
ルンゼを登るルートは、ロープを出すほどのこともなかったので、途中からはフリーで登って稜線まで出た。なべちゃんとガッチリと握手する。今回の登攀は、パートナーのなべちゃんにおんぶにだっこであったが、アルパイン・クライミングの魅力を少し分かったような気がする。いや、ホントに少しね…
疲れ切っていたが、その日の夜はなかなか眠れなかった。気持が高ぶっていたのだろう。でも、またこの仲間とアルパイン・クライミングに行くような気がする。
そのときは、もう少し登れるようにしたいと思うので、よろしくお願いします。
有り難う御座いました。
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