
<メンバー>
たろー、おりえ、けい、りょう、ふみふみ
<コース:1日目>
白山中居神社(7:00)~和田牧場跡(8:50)~野伏ヶ岳(11:05)~薙刀山(13:10)~日岸山(14:40)~C1(15:05)
残雪期の野伏ヶ岳は非常に人気ですが、その北側に連なる石徹白の山々は、訪れる人も少なく、静かな山旅を楽しめる私のお気に入りのエリアです。2018年に周回した際、その美しさに深く感動し、再び計画を立てました。
メンバーは、雪山泊が初めての新人「りょう君」、ラッセルが大好きな「けい君」、なんだかんだと頼りになる「おりえちゃん」、ギリギリまで仕事を調整して参加してくれた「ふみふみさん」、そして私の5人。今回は雪洞泊も楽しもうと、テントは持たずに挑むことにしました。ラッセルは若手の二人に任せ、私たちは気持ちの良い稜線歩きを楽しむ予定でしたが……。
集合場所の白山中居神社の積雪は背丈をはるかに超えており、今冬の厳しさを物語っています。まだ7時前でしたが、駐車スペースはすでに半分以上埋まっていました。今日の天気は曇り時々雪の予報ですが、すでに多くのパーティーが出発しているようでした。


石徹白川にかかる橋には、欄干を覆うほどの雪が積もっており、先週訪れた真名川ダムを思い出しました。雪は固く締まっており、和田牧場までは林道をサクサクと進むことができました。


牧場跡に出ると、目の前に野伏ヶ岳が姿を現します。風も穏やかで視界も悪くありませんでしたが、山頂付近がガスに覆われているのが気になりました。雪原を歩き、ダイレクト尾根に取り付きます。



途中でアイゼンを装着し、尾根を登っていくと、下ってくる人とすれ違います。話を聞くと、上はガスと強風がひどいとのこと。大きなクラックもあり、荷物が重いと飛び越えられないと脅かされました。
高度を上げるにつれ、ガスが濃くなり、風も強くなってきました。懸念していたクラックは、問題なく跨いで越えることができました。傾斜が緩やかになったところが野伏ヶ岳の山頂でしたが、視界はわずか10mほど。写真を一枚だけ撮り、薙刀山に向けて下山を開始しました。


しかし、ここからが大変でした。ホワイトアウト寸前のガスの中、特徴のない広い尾根を下るのは非常に困難です。何度か違う方向に進みかけましたが、おりえちゃんのGPSを頼りに、なんとか薙刀山との鞍部に到着し、昼食休憩を取りました。



ここで今後の方針を話し合いました。このホワイトアウト寸前の視界と強風は、予想よりもはるかに厳しく、このまま行動を続けるのは難しい・・。この場所で雪洞を掘って泊まることも考えましたが、天気は徐々に回復に向かうとのことだったので、進めるだけ進むことにします。

ゴーグルを装着すると、ずいぶんと行動しやすくなりました。幸い、気温はそれほど低くなかったので、体調面も問題ありません。クラックや雪庇を迂回しながら薙刀山(ここも視界なし)を通過し、日岸山との鞍部へ向かいます。


日岸山を登り始める頃には、風も弱まり、ガスも薄くなってきました。これならなんとか予定の宿泊地に到着できそうです。結局、前回の宿泊地よりもさらに進み、よも太郎山との鞍部を今日のキャンプ地としました。



キャンプ地では、イグルー組と雪洞組に分かれて作業を開始しましたが、雪が硬く、雪洞はなかなか掘り進められませんでした。そこで、急遽タープを上からかける竪穴式に変更します。イグルーは逆に雪が硬かったため、ブロックを切り出しやすく、うまくできたようです。





夕食は、竪穴式雪洞の中でみんなで鍋を囲みました。風が吹き込み寒かったですが、雪の中で食べる鍋は格別でした。


けい君はイグルーへ、残りの4人は雪洞で寝ましたが、雪洞は風でタープがバサバサと音を立ててうるさく、雪が吹き込んでくるため、かなり寒い夜となりました。



<コース:2日目>
C1(6:25)~願教寺山(8:20)~銚子ヶ峰(11:05~11:40)~神鳩ノ宮避難小屋(12:15)~石徹白登山口(14:00)~白山中居神社(17:45)
翌朝は、夜明けと同時に出発しました。天気は回復するかと思っていましたが、目の前の願教寺山はガスに覆われていました。



よも太郎山を越え、願教寺山の斜面に取り付きました。最初はアイゼンだけで何とかなる傾斜でしたが、山頂が近づくにつれて急になり、最後はふくらはぎを震わせながらなんとか山頂にたどり着きました。山頂直下にはクラックもあって緊張しました。





願教寺山から下り始めると、徐々にガスが晴れ、一気に視界が開けました。青空に真っ白な雪原、目の前には銚子ヶ峰から三ノ峰へと連なる稜線が伸びています。この景色を見るために、昨日一日我慢してよかったと思いました。りょう君は半袖になり、笑顔で歩いていました。






クラックと雪庇のある稜線を歩き、銚子ヶ峰へ向かいました。眺めの良い場所で昼食を取った後、石徹白登山口を目指して下山を開始しました。






昨日、野伏ヶ岳の山頂を過ぎてから誰にも会いませんでしたが、避難小屋を過ぎたあたりで単独の男性に追い抜かれました。話を聞くと、今日の1時過ぎに出発し、私たちと同じコースを辿ってきたとのことでした。すごい人がいるものだと感心しました。その人はあっという間に見えなくなってしまいました。


雪が緩んできたので、ワカンを装着しました。石徹白登山口には予定より30分早く到着しましたが、ここからが大変でした。雪は緩んでおり、何度も踏み抜いてしまいました。おまけに、雪崩で林道が寸断されており、アイゼンとピッケルに交換して本格的なトラバースをしなければなりませんでした(ふみふみさんは無言になっていました)。









白山中居神社には、予定より少し遅れて到着しました。満天の湯で汗を流し、白鳥町で夕食を食べて解散しました。


今回の石徹白周遊は、楽しい稜線歩きの予定でしたが、ホワイトアウトの中でのGPSナビゲーション、視界不良中のクラック回避、硬く凍った雪面の登下降、極寒の雪洞泊、柔らかい雪でのワカン歩行、そして林道での決死のトラバースと、まるで雪山登山の総決算のような山行となりました。
それだけに、非常に印象深く、思い出に残る山行になったことは間違いありません。参加してくれた皆さん、本当にありがとうございました。
記)たろー
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