石徹白縦走 大日ヶ岳から芦倉山 2021.02.20~22

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芦倉山山頂にて


<メンバー>
たろー、カブ、ふみふみ、もっちゃん、おりえ、りー

<コース:1日目>
ウイングヒル白鳥スキー場(11:00)~水後山(13:00)~P1666(14:15)~Ca1635m(15:30)泊


 

 2月の下旬、新しい天皇誕生日に有給を絡めて4連休とし、冬の槍ヶ岳に挑戦しようと計画していました。今シーズンは2月と言えど冬型の緩む暖かい日があるので、天候によっては我々にもチャンスがあるかも・・と思っていましたが、そうは上手くいかないようで、生憎の爆風予報。

 敗退覚悟で行って見る手もありましたが、2500mを越える稜線でテントを張る必要のあるコースではリスクが高すぎると判断し、標高が低くて雪山が楽しめる縦走コース・・奥美濃の石徹白に転進です。

 白山中居神社を起点に野伏、薙刀、願教寺の右回りルートは3年前の3月に歩いているので、今回は大日ヶ岳から芦倉山を経て、神鳩宮避難小屋を周回する事に。

 白山中居神社に車をデポし、ウイングヒル白鳥スキー場からゴンドラに乗ってゲレンデトップまで上がります。スキー場が思ったよりも混雑していてゴンドラに乗るのに結構な待ち時間。結局出発出来たのが11時になってしまいました。

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ウイングヒルのゲレンデトップからスタート

 雪は数日前にしっかりと降ったようで、非圧雪の場所は膝まで潜るズボズボ状態。壺足のトレースがありましたが、我々がワカンを付けているとトレースの主が早々に降りて来ました。聞けば水後山まで行けずに敗退してきたとの事。うーん、今回はラッセル祭りか。

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新雪を踏んで歩く

 情報通り、トレースは水後山の手前で終わり、後は自分達で切り開いて行かなくてはなりません。幸い6人もメンバーがいるので5分で先頭を交代しながら進みます。30分の内、5分だけ頑張ればいいので気が楽です。

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すぐにノートレースになる

 とはいうものの、雪は重く湿っていて重く、ワカンに絡みつきます。足が重い・・。尾根には谷川でも見たような雪庇が発達しています。

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雪がダンゴになる

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大日ヶ岳はまだまだ先

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雪庇が発達している

  P1666からの下りがリッジ状になっていて通過するのが怖かったので、左の斜面を下って逃げる事にします。しかし、風下側に降りると雪が吹き溜まっていて太ももまで埋まります。下りじゃなかったら歩けないなあ・・

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トラバース気味に登って

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左の斜面に逃げます

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吹き溜まりは太ももまで埋まる

 稜線に復帰した後は大日ヶ岳を目指しますが、雪が深く遅々として進みません。計画では天狗岳山の向こうまでは行きたいと思っていましたがどうも厳しくなってきました。

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ラッセルの登りはキツイ

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ひたすらラッセル

 大日ヶ岳の手前、標高1650m辺りで15時半。まだ6時間ぐらいしか歩いていませんが、今回は強風対策として竪穴式雪洞を作ってみたかったので、今日の行動を終了する事にします。

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そろそろ泊まり場を探さなくては

 プローブで十分に積雪がある事を確認し場所を決めます。6人が寝られるスペースを決めたら、スノーソーでブロックを切り出し、周辺に積み上げて壁を作ります。十分に立ち上がれる位の深さの竪穴が2時間程で出来ました。タープを掛けたら完成です。

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ブロックを切り出して

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雪を積み上げて行きます

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タープを被せたら

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完成です

 しかし、少し欲張って広めに作ってしまったので、屋根であるタープと雪壁の間に隙間が出来てしまい、そこに強風が吹きこんでタープの張綱がちぎれ吹き飛んでしまいました(ガーン・・)。

 辺りは薄暗くなってきて雪も降り始めました。タープを張り直す事もテントサイトを作り直す事も出来ず、途方に暮れてしまいます。しかし、全員寝られるスペースがあるという事は5テン一つなら立てられるはず、と竪穴の中に5テンを立てます。ザックをすべて外に出せば何とか6人寝られそうです。

 狭いテントの中で水を作り、夕食(豚汁)を食べたらもう22時。でもお腹が膨れると落ち着くものですね。

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何とか夕食にはありつけました

 雪の中の作業で服が湿ってしまったメンバーもいて、寒さが気になりましたが、6人で寝るテントは暖かく、深く掘った穴の底にいるお陰で風も気になりません。おかげでぐっすり眠る事が出来ました。

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ぎゅうぎゅうだけど暖かい

 寝るのが遅かったので明日はゆっくり目に出発する事にしました。


<コース:2日目>
Ca1635m(7:00)~大日ヶ岳(7:30)~天狗山(8:30)~P1596(10:00)~P1408(10:55)~Ca1525m(13:30)泊


 朝起きると辺りはガスガスで風も強い。昨夜の悪天が少し残っているようです。モチベーションは最悪で、一瞬このままスキー場に戻ろうかとも思いましたがメンバーは行く気満々。考えてみれば食料は2日分あるし天気も回復傾向、撤退の理由はありません。テントを撤収し、ワカンを着け、ガスの中を登って行きます。

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朝のテント、みぞれでグショグショ

 手近な樹林を目標に尾根を登って大日岳に到着。山頂付近は視界10mのホワイトアウト寸前でGPSが無ければ方角を見失いそうです。

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ガスガスの中出発

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大日岳山頂
 
 天狗山に続くトレースとGPSを頼りに尾根を進んで行くとガスは徐々に薄くなり、青空が顔を見せ始めました。

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天狗山に向かう

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明るくなってきた

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視界もクリアに

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青空~

 昨日のトレースは天狗山で終わり、そこからは足跡の無い尾根が広がっています。自分達以外誰一人いない雪原に足跡をつけて行くのは最高に気持ちいい!P1596までは緩やかなアップダウンが続きます。

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雪原に足跡を刻んでいく

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ラッセルラッセル

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振り返ると自分達のトレースが

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青がどんどん濃くなる

 しかし雪は重く中々ペースが上がりません。5分で先頭を交代しバテ無いように進みますが、スピードを測ってみると1時間進んだ距離は1km程でした。

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気持ちいいけどしんどい

 P1596から標高200m下りP1408で小休止、目の前に見えている芦倉山まではまだまだ時間がかかりそう。このペースでは神鳩宮の避難小屋にたどり着けそうにありません。

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芦倉山遠いなあ・・

 しかもこの軟雪では明日の林道歩きも難渋しそう。そう考えると心は一気に軟弱な方向へ傾きます。昨日は寝不足だったしと言い訳もしながら、今日は芦倉山手前の平坦地で泊まる事にします。

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ここから登り返し

 標高1500m付近の台地には13:30に到着。まだ時間は早いですが、今日はまったりする事に決定。スノーブロックをしっかり摘んで防風対策ばっちりのテントサイトを構築。テントはちゃんと二つ張りました。

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しっかり雪壁を作って

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ちゃんとテントを二つはります

 テントが立ったら水を作りながら楽しい宴会。〆はぺミカン味噌ラーメン、ラッセルで消耗した体にバター風味の味噌スープがしみわたります。(昼過ぎで行動終えたけど。。)

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夜はぺミカン味噌ラーメン

 昨夜は少し悲壮感も漂っただけに今日はのんびり楽しい夜になりました。タープが吹き飛んだシーンを思い出し、槍ヶ岳にチャレンジしてたら大変な事になってたね、とみんなで大笑い。いい経験を積むことが出来ました。

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今日は快適だ


<コース:3日目>
Ca1525m(7:00)~芦倉山(8:00)~芦倉山南尾根~林道(10:50)~白山中居神社(12:15) 


 3日目も快晴。出発の準備をしていると朝陽が登ってきました。芦倉山の頂上までは1時間程のラッセルで到着しました。(思ったより早く着いたなあ)

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日の出

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芦倉山を目指す

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雪面を登ると

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頂上に到着

 頂上からは野伏ヶ岳、薙刀山、よもたろう山などの石徹白の山々、そして銚子ヶ峰から白山が白く輝いている。うーん、来てよかったなあ。思い思いに写真を撮ったら最後に集合写真。

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左から小白山、野伏ヶ岳、薙刀山

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白山もバーン

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写真撮影大会

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白山をバックに

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薙刀山をバックに

 下山は芦倉山の南尾根。上の方は急ですが、雪が柔らかったのでキックステップで下りて行けます。途中からはシリセードも交えてどんどん標高を下げます。

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南尾根を下って行く

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シリセードも交えて

 傾斜が緩くなってくると再びラッセル・・沈み込みに辟易しながら歩いていると気温も上がってきて、汗だくだく。

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野伏ヶ岳が近づいてきた

 頂上から3時間程で林道まで降りてきました。途中にはテン場の跡がありましたが、トレースは上へは伸びていませんでした。きっとラッセルがきつくて敗退したのでしょう。林道もたっぷりの雪でなかなかワカンが脱げません。

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林道に降り立つ

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2m位積もってる?

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暑い

 昼過ぎには白山中居神社に到着。靴を履き替え、デポしてあった車でスキー場に置いてあった車を回収、満天の湯で3日間の汗を流してすっきりしました。

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白山中居神社

 槍ヶ岳からの転進プランで行った石徹白の山。スタートの遅れやラッセルで思ったような行程で歩けませんでしたが、いろいろな体験が出来ていい経験になりました。来年は槍ヶ岳にチャレンジできるかな。参加の皆さんありがとうございました。

記)たろー

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