
<メンバー>
たろー、ふみふみ、こうじ、りー、なべちゃん、いさお、てつや、たまちゃん
<コース:1日目>
三方岩岳登山口(6:10)~避難小屋(10:05)~下降点(11:00)~P1202(15:00)~ミチギノ沢出合・C1(18:45)
お盆前半の大雨で満を持したはずの黒部上の廊下は中止に・・。しかしせっかく休みを取っているのでどこか遠征に行きたい・・。なべちゃんと相談し、転進先の候補に挙がったのは南会津の御神楽沢。難易度はそれほど高くはなく、いつもとは雰囲気の違う雪国の沢。これはいい沢旅になるかもしれない。ということで上の廊下メンバーで東北遠征へ。
前夜に愛知を発ち、交代で運転をしながら桧枝岐村へ。お盆の渋滞を避けるため、ルートは中央道から佐久、那須塩原を経由した。
桧枝岐道の駅は、さすが百名山の登山口だけあって、早朝だというのに日本各地からの車で8割方埋まっていた。魚沼経由で来たイサオ号と合流し、車1台を会津駒滝沢登山口へデポ。ピストンで国体ルート登山口へ移動し、三岩岳への登山道に取り付く。


稜線までは標高差1000mちょっとだが、これがきつかった。国体のために無理やりつけたような登山道は、ひたすら直線的に高度を上げていき、まったく人にやさしくない。朝のうちは気温が低くて助かったが、時間がたつにつれて気温が上がり、汗が噴き出してきた。2泊分の食料と酒を詰め込んだザックは重く、寝不足と相まって避難小屋に着く頃には青息吐息の状態だ。


でも、ここからは下り。元気を出していこうとみんなで励まし合い、窓明山方面へ100mほど下ると雰囲気のいい湿原が広がる。鞍部の笹に意味深な赤テープがあり、どうやらここからミチギノ沢へ降りていくらしい。藪をかき分け下っていくと、足元にはいつの間にか水が流れていた。




雪国の山の猛烈な藪に慣れていないメンバーは、最初は戸惑って(辟易して)いたが、沢がしっかりとした流れになってくる頃には楽しみながら下降できた。

しかし、このミチギノ沢下降は長い・・。GPSで現在地を確認するたびにため息が出るほど長い。そのうち、早く泊地に着いて釣りをしたいメンバーと、疲労と慣れない重荷での沢下降にフラフラになっているメンバーとの差が広がりだした。




先行メンバーに時々待ってもらいながら下降していく。スピードは上がらないが、何とか明るいうちに出合いまで行けそうだなあと思っていると、先行していたテツヤさんが引き返してきた。聞くと、この先に懸垂では降りられない滝があるとのこと。


「えー、この期に及んで巻き道探しか〜」とがっくりしたが、そうも言っていられないので右岸の藪尾根に分け入り、ルートを探す。薄い踏み跡(けもの道?)をたどって尾根に上がろうとしたが、藪が濃すぎて人が歩けるスペースはない。幸い、イサオさんがトラバースで進める踏み跡を発見し、歩いて谷に復帰することができた。やれやれ。

谷に戻ると薄暗くなってきたので、ヘッドランプをつけて下降再開。テン場まであと少しというところで、コウジさんがフラフラで歩けなくなってしまった。ザックは後で回収することにして、空身でとりあえず出合いの河原まで歩いてもらう。ザックはテツヤさんが回収してくれて、何とか全員泊地にたどり着くことができた。
泊地に着いたら、まずは薪集め。幸い、流木の塊がすぐ近くにあったので、焚火を起こすのには困らなかった。焚火がついたら、いつものルーティン。米を研ぎ、タープを張り、宴会の準備。こんな過酷な行程にもかかわらず、フミフミさんがナスのつまみを作ってくれた(人数分のナスを持ってきてくれた。ありがとうございます)。


ビールを飲みながら今日の行程を振り返り談笑していると、さっきまでハラハラしながら歩いていたのが嘘みたいだ。みんな頼もしい。
美味しく炊けたご飯を各自持ち寄ったおかずで食べると、お腹いっぱいに。時計を見るといい時間になっていたので、今日はお開き。タープは一つしか張れなかったので、焚火の横でごろ寝。星がきれいだった。

<コース:2日目>
C1(7:10)~畳岩(9:40)~2段18m滝(10:40)~Ca1340・C2(14:00)
2日目、今日はいよいよ御神楽沢遡行だ。こうじさんも回復したみたいだし予定通りスタート。記録にある程ひどい滑りは無く、快適に歩いていける。両岸は明るく開けており、川幅いっぱいに流れる様子はさすが本流って感じ。

最初に現れる樋状の小滝は水量が多く一瞬躊躇したが、巻きも面倒そうなので右岸からヘつって流れの中に乗り込んで突破。その後出てくる5~10mの滝もどこかに弱点がありロープを出さずに超えていける。畳岩では流れをまたぐお約束の写真撮影。昨日の疲れもあるのでのんびり休憩する。








遡行を再開。白いスラブを流れる水に開けた両岸、木々は背の低い灌木で空が広い。雪国独特の渓相にいつもの紀伊半島や鈴鹿とは違う異国情緒を感じる。


2段18mの上段は左岸の泥付き壁(残置あり)を登るところが少しいやらしく、ロープを出した。


今日はムジナクボ沢まで行くつもりだったが、昨日からの疲労のせいかペースは上がらずない。泊地まで行くとまた夕方遅くになってしまいそうなので早めに切り上げる事にし、泊地を物色しながら遡行していく。


標高1340mあたりに泊まるのに適当な河原を見つけた。上流を偵察してもしばらくゴーロが続くので今日の泊地はここに決定。時間は14時。ムジナクボ沢までまであと2時間以上かかるけど、今日はキャンプを楽しんで明日頑張る事にしよう。
そうと決まれば薪を集めて焚火の準備。昨日よりは集めるのに苦労したけど人数がいるので何とか一晩燃やすだけの量は集まった。あとはビールを冷やしてのんびりタイム。
なべちゃんとりーちゃんが釣りに行っている間に焚火を起こす。釣果は尺に近いものを含めて5匹をゲット。2匹釣ったりーちゃんは大興奮。さすが会津の沢は川も豊かだなあ。

夜は昨日、食べられなかったおつまみも出してのんびり宴会。ごはんもおいしく炊け、魚の焼け具合もちょうどいい。今夜もタープは一張りしか張れなかったので星空の下でごろ寝、雨さえ降らなければこのスタイルがいいな。



<コース:3日目>
C2:(6:40)~ムジナクボ沢出合(9:00)~P1750(11:20)~稜線(13:55)~会津駒ヶ岳(14:25)~駒ノ小屋(14:45)~滝沢登山口(17:00)~駐車地(17:35)
3日目、今日は行程が長いので少し早めの出発。まずは巨岩のゴーロを高度を上げていく。さすがに3日目ともなると疲労がたまっていて、大岩を乗り越えるのも一苦労だ。


白布をたらしたような滑滝を超えると川幅は狭まり、傾斜がどんどん立ってくる。ロープを出すような滝はないが、そこそこいやらしい登りがあるので、慎重にルーファイをしながら進んで行く。5mの直瀑は右岸のルンゼから巻いたが、少し悪かった。





ムジナクボ沢の出合いには2時間余りで到着。周りにはもう立ち木が少なく、薪集めに苦労しそうだ。やっぱり昨日の選択は間違っていなかった。急に水温が下がったなと思ったら、周囲には雪渓が残っていて驚いた。スノーブリッジは出てこなかったので一安心。

ムジナクボ沢の出合いから稜線までは標高500mあまり、まだ半分ほど残っている勘定になる。げんなりしながら沢を詰めていく。

沢はすっかり小さくなったけれど、まだまだ気の抜けない箇所が出てくる。途中の滝では、こうじさんが雪解け水のような釜にドボン。5mほどの小滝を巻くのに強烈な藪こぎで1時間近くかかったりした。雪国の沢おそるべし……。




どんな難所が出てくるか恐る恐る登っていったが、その後は苦労する箇所も無く、沢を順調にたどっていく。やがて水が枯れて笹藪になると、ふみふみさんが途端にパワーを発揮し、後続を引き離し始めた。視界は1mもないので、声をかけながらお互いの位置を確認しあう。



先頭から「出たよ〜」の声を聞いたら、ひと踏ん張りで気持ちの良い稜線に飛び出した。穏やかな緑に包まれた稜線は、まるで天国みたいだ。



会津駒ヶ岳の山頂で記念撮影をしたら、駒の小屋で一休み。みんなお土産の手ぬぐいやらTシャツを買っていた。さすが百名山。



あとは黙々と登山道を下って滝沢登山口まで。ちょっと曇っていたので、暑くなくてちょうど良かった。


車を回収すると、もう18時を回っていた。車のガソリンが乏しくなっていたので、とりあえず営業しているガソリンスタンドを探してそこに向かう。何とか給油できたので、那須塩原で汗を流し、夕食を食べたら22時近くになっていた。あとは運転を交代しながら西を目指す。愛知に着くころには夜が明けていた。
上の廊下からの転進で行った御神楽沢は、もっと簡単な癒し渓だと思っていたが、さすが会津の有名なクラシックルート、なかなか手応えがあり、結果的に大冒険となり、良い夏の思い出になった。
同行してくれた皆さん、ありがとうございました。
記)たろー
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