南紀 和田川 奥山谷 沢登り 2022.05.03-04

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甚五郎滝


<メンバー>
いさお、おりえ、たろー、なお

<コース:1日目>
奥山谷橋(9:00)~成地谷出合(9:25)~甚五郎滝下(12:45)~甚五郎滝上(15:30)~泊地(15:45)


 GW遠征は例年、残雪のアルプス縦走に行っていました。しかし、今年は仕事の関係で長期休暇の計画が立てられなかったので、いさおさんの南紀、奥山谷の沢泊に乗っかる事にします。

 奥山谷は未見の谷。アプローチの悪さ(ここ数年林道通行止め)と下山の煩わしさ(車デポ要)から中々足が向きませんでしたが、最近林道が復旧したようなので長い林道歩きは回避できそう。楽しみです。

 熊野から熊野川上流へ進み、赤木川沿いの小口まで。そこから県道229号線、さらに畝畑でホイホイ坂林道に入ります。完全にダートになっている場所を超えてようやく奥山谷橋に辿り付きました。携帯電波が届かなくなってから既に1時間経過、秘境だ。

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奥山谷橋まで林道が開通(復旧)

 入渓は右岸側の橋の袂から。薄い踏み跡があり緩めのルンゼを歩いて沢床に降り立ちます。容易でした。

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左岸の袂から谷へ降ります

 降り立った先は白い岩にどこまでも透明な水の流れる美しい沢。天気も良く、陽光が水面に反射してキラキラと輝いています。

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白い岩の美渓

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水の透明度は抜群

 前半は谷の傾斜もゆるく、マイナスイオンを感じながら気持ちよく歩いて行きます。時折、4~5mの滝が出てきますが、どこかに弱点があり基本越えていけます。(高巻きは無し)

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4~5mの滝が時折現れる

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両岸は立っている

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微妙な登り、いさおさんが突破

 長い間、沢登りをやっていますが、これほどきれいな沢はめったにありません。「きれいだね~」「すごいね~」を連発しながら遡行していきます。

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もうとにかく美しい谷

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浅いゴルジュって感じが続く

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流されないように

 途中出てくる5mほどの滝。左側の岩溝から越えましたがいさおさんは右からトライ。途中で行き詰ってヘルプに回ります。

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左の岩溝から行くのだか

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いさおさんは右のスラブからチャレンジ

 中盤からはナメも出てきて南紀らしくなってきました。ナメ→小滝→ナメと越えていきます。小滝は時にロープを出して登り、ナメは滑らないように慎重に歩いて行きます。

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溜息が出る

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真夏なら飛び込みたい

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中盤にはナメも現れる

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この滝は

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とりあえずロープを出して超える

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小滝を越え

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ナメを歩いた先に

 ナメを歩いていると向こうから轟音が轟いてきました。甚五郎の滝45mです。ハングしている上段から水が雨のように降り注いできます。しばらく上を向き、口をあんぐり開けて鑑賞。

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甚五郎の滝

 滝鑑賞が終わったら集合写真を撮り、巻きルートを探ります。入渓からここまで3時間45分。順調です。

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集合写真

 滝の両岸は高い嵓がそびえていますが、やはり弱点は右岸のルンゼのようです。浮石に気を付けながら慎重にルンゼの中を登っていきます。途中から落ち口に向けてトラバースするバンドを行くのが一般的なようですが、そのようなバンドは見つかりません。

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右岸ルンゼから巻き

 ルンゼを登り切り支尾根まで出てしまいました。いさおさんがもう一度下りながらバンドの探索に行きますが、中々厳しそう。なおちゃんがスマフォの中に保存していた昔の山行記の記述を頼りに別ルートを探ります。

 支尾根の上は岩壁になっていて登れないので、上がってきたルンゼとは反対側の斜面をトラバースして巻き上がります。20~30mほど進むと更に上に登るルンゼが出てくるのでそれを詰め、もう一度支尾根まで上がります。

 尾根に上がってしまえば奥山谷へは歩いて下りられる傾斜。谷に降り立った時には3時間も経っていました。

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小尾根まで出ちゃいました

 降り立った場所は甚五郎滝の落ち口のすぐ上、さらにほんの少し遡ると左岸側に小屋跡の平坦地がありました。計画ではこの先のゴルジュを抜けてしまうつもりでしたが、巻きに時間を取られてしまった事もあり、ここで泊とします。ツエルト4張り何とか張れる広さでした。

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滝上が泊適地

 寝床が確保出来たら薪を集めて焚火の準備。火が起こったら宴会開始です。今日のおつまみは、クリームチーズのディップ2種類(コンビーフとオイルサーディン)これは家で仕込んできました。

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クラッカーにディップ2種類

 そして前回好評だったジャーマンポテト。今回がとろけるチーズをのせてみました。

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ジャーマンポテトチーズ入り

 そしてメインはオイルサーディンのオイルパスタ。頑張って作っていたらすっかり暗くなってしまいました。

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焚火の横でせっせと調理

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今日のメインはオイルサーディンのパスタ

 今日のメニューも腹ペコメンバーたちには大好評。沢は水がふんだんに使えるのでパスタもいい感じで作れます。あとはお酒を飲みながらのんびりタイム。

 明日はもう難所もないはずなので、お気楽な気分にになっていましたが、そうは問屋が卸しませんでした・・。


<コース:2日目>
泊地(07:30)~奥の二俣10:50~稜線(12:30)~P905(13:20)~足郷山(14:10)~P849(15:25)~奥山谷(17:05)~奥山谷橋(17:20)


 夜はそれほど冷え込まず快適。朝はノンビリ起き出して焚火の横で朝食。7:30に出発です。

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テンバの朝、今日もいい天気

 最近の遡行記録では甚五郎滝に上はロープも出さずにサクサク登れるというもの。我々も完全に楽勝モードだったのですが、ところがどっこい、谷は傾斜が立ってきて両岸もどんどん高くなってきました。

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谷が立ってきた

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ゴルジュに突入

 さすがに泳ぎや絶望的な大滝は出てきませんが、巨石の積み重なるゴルジュは中々渋くてルーファイに苦労します。一度、巻きルート偵察で行き詰り懸垂で谷に復帰する場面も。どこが楽勝やねん。

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ルーファイが肝心

 滝の巻きも渋く、ロープを出す場面も3度ほどありました。慎重になるのは安全面では良いのですが、時間がかかります。最近なんだかどんどん臆病になってるなあ・・。

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直登は無理そう

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この滝は右岸巻き、渋かった

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ここも巻き、直登できたかも

 結局、予定の泊地だった奥の二俣の少し上で昼食休憩。この時点で成地谷下降での下山は諦めました。最後は涸れた谷を詰め稜線=大塔山への登山道に飛び出しました。

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水が涸れたルンゼを詰めて

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稜線に出た!!

 この時点で12:30.下山ルートを考えます。成地谷下降は時間的に論外として右岸尾根か左岸尾根をどちらを下るか。奥山谷の両岸は結構立っていたので無事谷に降りられるかどうかが問題です。とりあえずP905を目指します。

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快適な登山道

 距離的にはP905から成地谷の左岸尾根が魅力的でしたが、出合付近のゲジゲジマークが気になります。右岸尾根は距離的には遠回りになりますが、植林マークもあり何とか歩けそうという読みで足郷山からP849を目指す事に。

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足郷山

 足郷山から先は登山道を離れるので若干歩きにくくはなりましたが、狙った通り植林の尾根で林業のものと思われる目印もあり歩くことには支障ありません。ただ、途中、尾根が延伸してきた林道でぶち切られていたのには驚きました。(地図には記載なし)

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途中、延伸した林道に出くわす

 P849からは北西に向けて植林斜面を下っていきます。基本、ロープがいるよう難所も無く、懸垂下降は最後の5mほど1回で済みました。

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下りは懸垂1回で済みました

 成地谷出合でクールダウンと汚れを落とします。奥山橋谷まで登ると駐車場はすぐそこでした。笑顔で無事生還を果たせました(ちょっとオーバーかな)。

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クールダウン

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奥山谷橋に戻ってきた

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ゴール!!!

 下山予定を大幅に過ぎていたので急いで連絡を入れようとしましたが、携帯圏内に入るのにさらに車で1時間ほど走らなくてはいけませんでした。心配かけて申し訳ありませんでした。

 奥山谷は人の気配も薄く、とても美しい素晴らしい谷でした。夏に甚五郎滝の下までを泳ぎやスライダーを混ぜてピストンするのも楽しいかもしれません。

 ただ、初見の谷の上に情報も少なく、中々苦戦してしまいました。自分たちの実力を過信せず、余裕を持った計画が必要だなあと感じました。あと、ルーファイの感覚と登攀を頑張らなければ・・。

 ご一緒いただいた皆さん、ありがとうございました。いいGWの思い出になりました。

記)たろー

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