<メンバー>なお、くろ、たばっち
<グレード>沢2級
<コースタイム>12:30 表道P – 12:43 20m斜瀑 -(ロープ登攀)- 13:05 13:12 百閒滝(東多古知大滝) -(下見&巻き道)- 13:32 百閒滝上部 – 14:11 10m滝 -(ロープ登攀)- 14:49 14:56 8m滝 – 15:11 Co1000m二股 – 15:38 表道合流 – 16:20 表道P
幻のTOKYO2020連休初日。連休を利用して北アルプスの長期縦走を計画していたが、今年はCOVID19の影響で遠征もままならない。そして、いつまで経っても終わらない梅雨。
うーん。
沢登りなら小雨程度でも行けるかなぁ。
『小雨覚悟で近場の沢登り』と題して、2週間前にも行った東多古知谷を提案。
天気予報は昼からくもりだったので、12:30に出発することにした。
今回のテーマは、つま先でしっかり立ちこむこと。
沢靴の様に靴底がしなる靴は、靴の中で足の指をしっかり曲げ、足底筋で踏ん張る必要がある。
表道Pを出発し、登山道脇の堰堤の右岸を巻いて入渓する。
最初の滝は、左の土手から登り、チョックストーン(CS)の上に出たあとに水線を突破する。
続くゴルジュでは、へつりや水線突破を織り交ぜながら進み、20mの斜瀑へ到着。
最初のロープ登攀は、『リードじゃんけん』で勝った私がリード、たばっちがセカンドで、なおちゃんがしんがり。
2週間前に来たばかりなので、リードの要領は心得ている。
ビレイポイントは、斜瀑の中段左側にある大き目の石。そこから滝の左側に沿って3m程登り、カムを下からセットする。更に2m程登ると残置(ピン)があるので、そこにもヌンチャクを掛ける。ここから水線へ入り、滝が大きく左へ屈曲する場所にある立ち木へ120cmスリングを回して中間支点をセットした。水線から出て左側の岸へ上がり、3m程登った場所の立ち木でビレイポイントを作る。
<20m斜瀑。滝の左側を10mほど登り、そこからロープを出します>
次は、たばっちの番。久しぶりの沢なので緊張したらしく、上がってくるなり『あー、怖かった!』って。
ここで、ビレイヤーを交代し、たばっちがなおちゃんをビレイする。私はその間に自分のロープを片付けようと思っていたが、半分くらい束ねたところでなおちゃんが上がってきた。早い!
すぐに百閒滝が見えてきた。普通の人(?)は、右から巻いていくのだが、ここを登る人もいらっしゃるらしい。ネットで調べてみると、一段目のテラスにビレイポイントがあり、そこから滝の右側を上がっていくと中間支点がある。そこからもう1ピッチ上がり、右側の立ち木を終了点とするルートのようだ。この百閒滝は、大滝登攀と呼ばれる分野では比較的やさしい場所のようで、大滝初級と書いてあった。しかし、別の方の記事には、離陸するのが大変だと書かれていた。
今回のもうひとつのテーマは、このルートの下見である。
そこで、まずはテラスへ登ってみることにした。
水線の右側に残置ハーケンが打ってあり、そこがビレイポイントだと分かったが、大粒の水が降り注いでくる場所であり、ここでビレイし続けるのは辛そうな感じである。
次に離陸の可否を確かめる。壁の角度は、ほぼ垂壁。右上に走るクラックに左手を入れ、右手のホールドを探すが、どれも掛かりが悪い。テラスからギリギリ手が届きそうな高さにカムをセットし、それを左手で掴んで上がろうとしたがやはり右手の掛かりが悪くて断念。体勢を変え、左腰を壁に寄せようとしたが、左がカブっているのでそれもできない。結局、5分ほど悪戦苦闘したのだが、離陸不可と判断した。
それを見ていたなおちゃんが、『どれどれ~(^^)』と笑顔で寄ってきたので、選手交代。彼女も何度かトライしてみたが、『やっぱり無理やな(^^)』と言って戻ってきた。
<百閒滝の離陸ポイント確認終了。水が掛かり続けるので、ビレイも厳しそう>
下見を終えた一行は、ツルツル滑るテラスをトラバースして、巻き道の取り付きへ到着。そこにはちゃんとした登山道っぽい踏み跡があるのだが、2週間前も急斜面を直登したので、今回も同じルートで直登する。
※後で調べて分かったのですが、踏み跡通りに進めば安全に巻けるようです
滝の上部からは、鎌ヶ岳のすそ野が見えていました。晴れていたら山頂が見えるはず・・
ここからしばらくナメ床を進んでいくと、ボルダーチックな岩を発見。
せっかくなので遊んで行きましょう。
左手はアンダークリング、右手は水線の中でそれぞれジャミングします。左足は腰より上の段に掛けて、エイヤーっと立ち込みますが、なかなかうまくいきません。それを見かねて、なおちゃんがすぐさまスポットに入ってくれました。3度目の正直で、なんとか左足での立ち込みに成功。大勢が崩れながらも右手を更に上へジャミングし、何とかクリアです。
次いでなおちゃんの番。同じ大勢で上がろうとしましたが、ちょっと無理な様子。『なんか無いの?』と言うので、お助け紐(120cmスリング×2本)を垂らした。スリングの先端をなおちゃんのハーネスに繋いだら、力の限り引っ張ります。ま、ひとりの力では引き揚げきれないので、あくまでサポートですが・・
三人目は、たばっち。同じ要領で挑戦したが、『無理です!左から上がります!』とのこと。
後で聞いたら、『左手をジャミングしたときに、時計がガリっといきそうだったので・・・』とのこと。
※私の時計はガリっといいましたけど・・・
たっぷり遊んだ後は、10mの滝です。
ここもリードじゃんけんで と思ったが、『どうぞどうぞ』と譲られた。
ここは2週間前に、3チームがそれぞれ違うルートで登攀した場所です。前回は、長い待ち時間で体が冷え切り、左のササと水線の間をリードで登ったのですが、今回は水温も高めだし水線突破と行きましょう!
<10mの滝は、なかなか手強い。怖いときは、無理せずに右の支流側から巻く>
滝の左下にペツルボルトがあるので、そこをビレイポイントにする。
まずは、右の支流方面へ3m程上がってからカムをセットする。そこから水線へ乗っ越すために、左手を水線に突っ込みます。手掛かりを探してみたが、水線の中には丁度良いクラックが無い。仕方がないので左足を水線へ突っ込み、右手で側壁をガストン気味に引っ張って、エイヤーっと上がる。『水線の中は手掛かりがいっぱいあるでぇ~』と言われていたが、水流でツルツルに削られた中央部分は、掴めるようなホールドが無かった。そこから2m程上がり、左へ逃げてカムをセットする。ここで息を整え、再び水線へ右足を突っ込むが、中央はツルツルでフリクションが効かない。水線を跨ぐように大きく右足を伸ばし、一気に重心を移動させる。ここから上は手掛かりがしっかりしていたので、難なく終了点へ到着した。
終了点は、下と同様のペツルボルトが2個取り付けてくれてある。岩登りと同様の支点構築をした後に、セルフビレイを伸ばしながら滝の落ち口まで下がる。こうすることで、下から上がってくるクライマーが見えるし、岩角でロープが擦れることを防止することもできる。数年前に板さんに教えてもらったが、当時は自分が沢をするとは思ってもなく、ピンと来ていなかった。
次はたばっちが登ってくるはずだが、しばらく待っても姿が見えてこない。そうこうしている内になおちゃんが姿を現したので、クライマー交代したの?と思っていたら、たばっちの頭が出てきた。どうやら、最初の乗っ越しで苦戦しているようだった。私ができることは、ロープを目一杯引いてフォローすることだけ。がんばれ たばっち!
水線に入ってからは順調に登っているように見えたが、上がってきて一言。
『水がぶわーっと顔に掛かってきて・・・』。。顔に水が掛かるのが苦手らしい。
先ほどと同様にビレイを交代し、自分のロープを片付け始める。
片付け終わって下の様子を伺おうとしたら、なおちゃんが上がってきた。やっぱり早い!
『水線の中は手掛かりがいっぱいあるでぇ~』 は、本当だったんだろうか。。
小滝をいくつか越えると、先ほどと同じくらいの滝が見えてきた。
「たばっち、ロープ出そうか?」と尋ねたら、『大丈夫です!』との返答。そこそこの高度感だったが、みんな苦も無く登ってくる。
1000m付近の二股は、左側に進路をとります。
その後も、いくつか続く小滝の前で、【今日のテーマ】を確認する。
しばらくすると表道と合流する。そこで装備を解いて下山をした。
今回のコースタイムを分析すると、遡行時間は3時間で標高差は400m。その内、ロープを出したのは2ヵ所で、標高差は合計20m程だったが、要した時間は2ヵ所合計で1時間も掛かっている。ロープを出さなかった区間は残りの380mで約2時間。その差は9.5倍もある。人数が増えれば、更にこの差は広がっていく。
そこで、今後はロープを出す回数や人数に応じた山行時間の見積もり方法を検討したい。
また、垂直移動時間の短縮を目的とした勉強会も定期的に行っていきたい。
そして、みんなでもっと色んな場所へ行けるようになりたいなぁと思いました。
くろ(記)
コメント入力