<メンバー>
たろー、いさお、おすぎ、おりえ、こうじ、もっちゃん、ふみふみ、りー
<コース>
1日目
駒ケ根高原スキー場(8:15)~登山口(9:30)~池山避難小屋(11:40~12:20)~マセナギ(13:30)~小地獄(15:45)
~迷い尾根(16:15)~ヨナ沢の頭付近(17:30)
2日目
テン場(7:00)~駒石手前(9:45)~テン場(11:15~12:25)~小地獄(14:00)~マセナギ(15:20)~池山避難小屋(15:45)
~登山口(17:20)~駒ケ根高原スキー場(18:15)
〈プロローグ〉
筆者が、鈴鹿ハイキング倶楽部に入って間もなく一年になる。倶楽部に入って、それまでは単独が多かった筆者が、多くのパーティー山行に参加させて頂いた。しかも自分より経験も技術もあるメンバー達と共に。この環境は、筆者にとって大変有り難かった。ソロでは躊躇するような行程の山行にも果敢にチャレンジできるのだ。
倶楽部に入会する少し前、雪山も囓りだした筆者は、池山尾根での冬期空木岳登頂の記録を見ていた。厳しいルートを乗り越えてのピークハントに憧れると共に、筆者にはとても無理だなと思っていた...。
今シーズン、倶楽部企画の雪山訓練山行に幾つか参加し、貴重な経験を積むことが出来た。そして今回、雪の空木岳に挑戦する機会を得た。頼もしい仲間達と共に。
〈荷物の重さは、命の重さ〉
一泊二日の行程は、両日とも強風の予報であった。予想される厳しい条件に少なからずビビっていた筆者であるが、他のメンバーの表情に悲壮感は感じられない。さすが百戦錬磨、強者のメンタルである。
雪山テント泊の重装備を背負ってスタート。筆者にとっては凶悪な重さである。しかし全てが、過酷な雪山で必要な装備品である。テント、シュラフ、アイゼン、ピッケル、スノーショベル、食料etc...どれもが命を繋ぐために欠かせないものばかりだ。もちろん“雪のひよこ作り器”を持ってきているメンバーなど皆無である。装備の選定においても彼らはエキスパートなのだ。
〈道なのか斜面なのか?それが問題だ〉
重装備に疲労困憊で池山避難小屋に辿り着いた筆者であるが、ここからさらに厳しいルートとなる。鎖場や雪に半分埋れた梯子がつづく小地獄・大地獄をヒイヒイ言って越えていくと、その先には道がない!夏道は雪で覆われて、ただの斜面になっている。唯一の先行パーティーもここで引き返したようだ。
我々もここで撤退か?と覚悟したが、皆行く気満々である。流石、クロモリ・アイゼンの前爪のように強靱なメンタルの持ち主達だ。リーダーのたろーさんが、前爪を蹴り込んで斜面にトレースを付けていく。
途中から延々とつづく“カニ歩きトラバース”を避けて尾根筋へと斜面を登るが、これがまたタフ・ルート!おろしたてのパンツのようにキツイ!なんとかロープは出さずに済んだが、20kgの装備を担いで登るには険しすぎる!なんとか日没前にテント泊適地に辿り着いたときは、心底安堵した。
〈そのミスマッチ感は、3000M級♥〉
ハードな行程にボロボロにされて、テントを張って水作りを行う筆者の背中は、完全に煤けていたであろう。だが、しかし、地獄に仏。メンバーのもっちゃんが作るおつまみが豪華過ぎる!そして食担・ふみふみさんが準備してくれてたのは、なんと「すき焼き」!
テントの外は強風が吹き荒れる過酷な白銀の世界。でもテント内では美味な食事をお腹いっぱい楽しめました。この厳しい山行でこんなプリティな御飯にありつけるとは!キツかった一日も忘れて幸せに眠りにつくことが出来ました♪サンキュウ!
続く
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〈人生の宿題は、明日への希望〉
明けて二日目、いよいよ空木岳ピークへアタックである。快晴・気温高めで風も予想ほど強くない。天は我々に味方したか?と思ったが、入山者のほとんどない雪山は一筋縄ではいかなかった。尾根筋ルートが、想像以上に雪が深くラッセルを強いられる。
先頭を入れ替わりながら前進して、筆者のハムストリングスが、ご臨終になる寸前に樹林帯を抜けて視界がひらけた。紺碧の空と空木岳へと伸びる稜線。絶景に歓声があがる。素晴らしい景色の中、ピークへ向けて登る。
やはりこの標高では強風が吹き荒れる。耐風姿勢を取りながら進むが、駒石の手前でタイム・オーバー。山頂直下はクラスト斜面が予想され、この風では危険と判断して撤退する。
下山も険しい箇所があったが、なんとか無事に下山できた。雪の空木岳登頂は出来なかったが、充実した山行であった。ピークハントの宿題は、是非とも再チャレンジしたいと思う。そのときに、またこの仲間達と感動を分かち合えたら幸いだなと思う。
「忘れられない思い出」と「酷い筋肉痛」を残して、僕の空木岳チャレンジは幕を閉じた。
おしまい。
記)いさお
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