<メンバー>
たろー、なお、なべちゃん、もっちゃん
<コース:1日目>
上高地(8:50)~横尾(12:00)~涸沢ヒュッテ(15:40)
去年から何度か計画してはいろいろな事情で流れてしまった前穂北尾根。今シーズンはロープワークトレを繰り返し、満を持しての挑戦だ。
夏は順番待ち行列が出来る程の人気コースなので、残雪期、梅雨入り前、尾根の雪が溶けてノーアイゼンで登攀できるという絶妙のタイミングを見極めなければいけない。
最新の記録や山小屋のHP、気温や降雨量を見ながら思案の日々、何とか行けそうだなと思ったところ木曜日にまさかの降雪・・。まあ、ダメなら撤退すればいいやと思いながらメンバーに決行を連絡する。
アカンダナからバスに乗って上高地に到着。6月の今の時期はGWの喧騒が信じられないくらい静かだ。残雪テント泊のさっこ&おすぎコンビと一緒に涸沢までのんびりハイク。徳沢沢あたりではニリンソウの群落が見事だった。
本谷橋を渡り、横尾本谷との出合を見送った辺りから雪が出てくる。1か月前と比べる雪はずいぶんと減ったがまだしっかり残っているなあという感じ。谷が大きく右にカーブしてくると前穂北尾根や奥穂がちらちらと見えてくる。今日のゴールの涸沢ヒュッテも遠くに見える。
見えているのに中々近づいてこない涸沢ヒュッテに辟易しながら何とか到着。受付をすませ、まずはテラスで乾杯。GWはここまでたどり着けなかったのでちょっとうれしい。
この時期の涸沢は宴会目的のパーティーが多いようで、テラス上は一升瓶や家庭用カセットコンロを持ち込んで大騒ぎ・・・。ああ、ここはまだ下界だもんな。
日も傾き、思ったより寒くなってきたので宴会はお開き。私はさっこ&おすぎのテントに居候になるので、小屋組と分かれてテン場へ向かいテント設営。
夕食を食べたら小屋組のメンバーと打ち合わせをしようと思っていたけど、さっこ特性カレーを食べたらあえなく沈・・(これが翌日大きな影響を及ぼすとは・・・)。
つづく
<コース:2日目>
涸沢ヒュッテ(4:40)~5.6のコル(5:50)~北尾根~前穂高(12:00~12:20)~岳沢ヒュッテ(16:40)~上高地(18:10)
翌朝はさっこちゃんに起こされ慌てて集合場所に向かう。シュラフとマットはテント組が持って降りてくれるので身軽になったかな。(ありがとう)
涸沢カールままだまだ雪の世界なので冬靴にアイゼン、ピッケルの重装備でスタート。見る限り北尾根を目指すパーティーは居らず、今日の北尾根は貸し切りの予感。寝起きの体に雪の急登は堪えるがそれでも1時間と少しでコルに到着。
5.6のコルから見る北尾根は所々に雪は残っているが何とかアイゼン無しで登れそう(心の中でガッツポーズ)。ここでアプローチシューズに履き替え登攀準備。5峰の登りは普通の登山道を登る程度の難易度だが、上部に少しだけ雪田が残っていたのでそこだけ神経を使った。
4.5のコルで後続から来たガイドパーティーに先を譲る。4峰の登りを核心と記載している記録もあるので浮石に注意しながら慎重に登って行く。大きな岩に行く手をふさがれたら奥又白側をトラバース。ロープは出さなかったけど適度な緊張感で面白かった。
3.4のコルへ雪のクライムダウンをするといよいよ3峰の登攀だ。ちょうど先行のガイドPが登攀に掛るところだったので見学がてらしばし休憩。
コースが空いたら我々の番だ。1P目は最も優しい左ルートからトライ。最初はなおちゃんがリードでスルスルとロープを伸ばす。セカンドのなべちゃんが見えなくなったらいよいよスタート。
トラバース気味に進んで行くがホールド、スタンスも豊富で特別な登攀力はいらない感じ。ただ、高度感は半端なく、ミスをしたらただでは済まないので3点確保で慎重に行く。アイゼン登攀でリードするのはまだ怖いかも。
残置のある小テラスにたどり着くとなべちゃんが2Pをスタートしたところだったので、私もピナクルで支点をとり、もっちゃんを迎え入れる。思ったよりもサクっと登ってきて「楽しかった」という辺りは流石だなあ。
2P目は少し登ってテラスに出たら下から見えていたオープンブックのルンゼの中を少し登った所でピッチを切る。ルンゼの中には雪が残っていたが、アプローチシューズでも問題ないレベル。
3Pはルンゼの中を更に登って少し開けた所まで。ホールドスタンスが細かく、ここが一番登った感があった。3P終了後、少し小休止。後は実質ロープが必要な難易度では無いがロープを繋いだまま、3峰の頂上まで進む。
3峰から2峰には登りは無く、最後はガレガレのリッジを平行移動して末端から1.2のコルに向けて懸垂下降。ここでなべちゃんの新品ロープがキンクしてちょっと時間のロス。コルに降り立てば、あとは普通に登って1峰(前穂高頂上)まで。
前穂高初登頂!とは言っても拍手をしてくれるギャラリーは誰もおらず、不思議な静けさが漂っている。想像よりも難しく無く、訓練の成果を活かして気持ちよく登れたって感じ。それよりも問題は下山だ。
頂上で昼食休憩の後、冬靴+アイゼンに履き替え下山開始。先週のガイドパーティーの軌跡に従って奥明神沢の左俣を下ろうとしたが、これが大失敗。傾斜の急な雪渓は歩いて下りるには怖すぎて、殆どの距離をバックステップで降りる羽目に・・(時にはロープを出して)。
所々で登りのトレースが出て来るので間違ってはいないと思うんだけど厳しすぎる。途中、なべちゃん行方不明事件もあり、緊迫度MAX。
奥明神沢の本谷への出合直前には雪が無くなり滝に行く手を阻まれる。幸い支点になる立木があったので懸垂下降で難を逃れ何とか岳沢ヒュッテにたどり着いたのが16時半。
平湯行の最終バスには間に合わない事が確定したが、釜トンネルが閉まるまでにはタクシーを捕まえなければと最後の力を振り絞って上高地まで。何とか18時過ぎにタクシーをひろい無事アカンダナまで戻る事が出来た。ふう・・・。
長い間憧れていた前穂北尾根。思ったよりも易しく、正直、こんなもんなという感じ。更に渋滞も無かったのに最終バスに乗り遅れたのはやっぱり総合力が不足していたのだろう。
<主な反省点>
・北尾根の登り、空いていた割には時間がかかった。登攀、ロープワークはそれほどもたついた訳ではなかったので休憩が多かったか?(スケジュール管理が甘い)
・下山ルートについては冷静に考えれば尾根を歩いて最低鞍部まで行き、雪渓の下降距離が一番短いルート(奥明神沢)を選ぶべきだったが、なぜか先週のパーティーのGPS軌跡をたどり、雪渓の下降距離が長いルートを選択してしまった。事前に全員で相談確認出来ていればこうはならなかったと思う。
とにかく、登攀にばかりに気を取られ、下山ルートの吟味がおろそかになってしまった。特に一般ルートが使用出来ない残雪期であればなおさらだ。ここ辺りはまだまだ反省しなければいけない所。(怖い思いをさせて申し訳ない)。
それでも全員初見のバリルートを無事にクリア出来たのは大きな自信になった。次は劔の八峰かなあ。またみんなでチャレンジしましょう。参加の皆さんありがとうございました。
記)たろー
<もっちゃんの感想>
行きたかった前穂北尾根、混雑は覚悟していたのですが、まったくの杞憂でノンストレスでした。思っていたより難しいところは少なく(セカンドですいません)ロープワークも何回か講習をしてもらったおかげでスムーズにいけ、楽しく登ることができました。浮石やもろい岩が多く、手や足を置く位置には注意が必要でしたが、前穂高岳頂上まではとってもいい感じに進むことができました。
しかしそこからの下りがすごすぎた×× いろいろありすぎて、結局最終バスには間に合わず、なんとか釜トンネルが閉まる前にタクシーに乗れたけど、反省しきりの下山になってしまいました。
10年分のクライムダウンをしたんじゃないかという位、ひたすら急斜面をクライムダウンし続けたり、雪が切れて沢登りのようになってしまい50mロープを2本使っての懸垂下降を2回したり、内容が濃すぎてメインが前穂北尾根ではなく下山に上書きされてしまいました。クライムダウンと懸垂下降はかなり上達したと思います(笑)
反省点は多数ですが、誰もケガなく終われてよかったです。
<なべちゃんの感想>
今回は、前穂のバリエーションルートに挑戦しました。1日目の涸沢ヒュッテまでの歩行は退屈でしたが、涸沢で飲むビールに思いを馳せて頑張りました。涸沢ヒュッテに宿泊したのですが、マナーの悪い宿泊客が多くて、熟睡はできませんでした。
2日目は、なおさんとコンビでマルチピッチで北尾根に挑戦して、リードとビレイがスムーズにできてレベルアップを実感できました。
今回、下山の時にメンバーに連絡なくはぐれてしまい軽率な行動をしてしまいました。大変申し訳ありませんでした。今後は、報告、連絡、相談を怠らない様に心掛けます。
<なおちゃんの感想>
久しぶりの小屋泊。
泊地に着いても何もしなくていい。ゴハンは座ったら出てくる。この時期の涸沢ヒュッテは空いてるし凄く快適でした。年一回くらいはこんな贅沢もいいかもと思いました。
翌日の前穂北尾根は暑くもなく寒くもない、アプローチシューズで快適に登れる、いい感じでした。
下山に手間取り時間ギリギリで岳沢から上高地まで走り抜け(1時間ちょい?)無事タクシーを捕まえました。このタイムレコードは今後も塗りかえられないと思います笑
おわり
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